パナソニックは、「第4回 4K・8K映像技術展」において、開発中の有機CMOSセンサーを展示するとともに、同センサーを用いて試作した8Kカメラで撮影した映像をリアルタイムで見せるデモンストレーションを披露した。
パナソニックは、「第4回 4K・8K映像技術展」(2021年10月27〜29日、幕張メッセ)において、開発中の有機CMOSセンサーを展示するとともに、同センサーを用いて試作した8Kカメラで撮影した映像をリアルタイムで見せるデモンストレーションを披露した。
同社が2016年2月に学会発表した有機CMOSセンサーは、従来のCMOSセンサーの受光部として利用されてきたシリコンフォトダイオードを、より光吸収係数が大きい有機薄膜に置き換えて、8Kレベルの高解像と幅広いダイナミックレンジ(WDR)、画像を一度に取得するグローバルシャッター(GS)の全てを兼ね備えることを可能にしたCMOSセンサーだ。一般的な裏面照射型CMOSセンサーでは、高解像と幅広いダイナミックレンジを実現するとグローバルシャッターを搭載できず、グローバルシャッターを搭載すると解像度とダイナミックレンジが低下するというトレードオフが課題になっている。
有機CMOSセンサーは、8Kレベルの高解像を備えつつダイナミックレンジを一般的なCMOSセンサーの4倍とし、グローバルシャッターも有機薄膜に印加する電圧を調整して光電変換効率を制御する独自の光電変換電圧制御技術によって実現できる。学会発表の段階ではあくまで研究成果だったが、実用化に向けた技術開発が大きく進展していることから、映像機材などの展示が行われる4K・8K映像技術展で技術を訴求すべく出展を決めたという。
今回の展示では、3500万画素(8192×4320)の有機CMOSセンサーと、有機CMOSセンサーを組み込んだ8Kカメラのプロトタイプを披露。また、展示ブース内に用意したひな飾りをこの8Kカメラで撮影し、リアルタイムで8Kテレビに映し出すデモンストレーションを披露した。「ひな人形1つ1つの表情など細かいところがしっかり見えており、色再現性も高い」(パナソニックの説明員)という。
なお、有機CMOSセンサーの次世代技術としては、1画素内に高感度セルと高飽和セルという2つの感度検出セルを設ける超WDR技術がある。これによってダイナミックレンジは、有機CMOSセンサーの100倍、一般的なCMOSセンサーの400倍が可能になるという。
なお、実用化時期は未定で「今回の展示会での反響を踏まえて、実用化に向けた開発をさらに加速させたい」(同説明員)としている。
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