COVID-19の感染拡大でグローバルのサプライチェーンに深刻な影響を与えている東南アジアは、国によって状況が大きく異なっている。ダイハツ工業の8月の海外生産は前年同月比23.5%増の4万8585台と2カ月ぶりにプラスへ転じた。これはインドネシアが前年8月のコロナ禍での低迷に対する反動増で同2.6倍と大幅に伸長したのが要因。一方、マレーシアはロックダウンに伴い6月から稼働を停止。8月は17日から順次生産再開したが大幅な前年割れとなった。
なお、国内生産は前年同月比25.5%減の4万9194台と2カ月連続のマイナス。半導体不足に加えて東南アジアからの部品供給難で、8月後半から相次いで国内拠点の稼働停止を実施。「ロッキー」やトヨタ向けにOEM供給する「ライズ」「トール/ルーミー(トヨタ向けOEM)」「タント」「ムーヴキャンバス」など主力モデルの供給が滞っている。これらの結果、グローバル生産台数は同7.2%減の9万7779台と2カ月連続で前年実績を下回った。
東南アジアのウエートが高い三菱自動車は、8社の中でグローバル生産が唯一プラスとなった。8月のグローバル生産台数は、前年同月比66.4%増の7万6339台と5カ月連続で増加した。大幅な増加は前年8月がCOVID-19感染拡大で低迷していたのが理由で、コロナ禍前の2019年8月との比較では2割減にとどまっている。
回復をけん引したのは海外生産で、前年同月比71.0%増の4万5771台と6カ月連続のプラス。ダイハツ同様に前年8月の生産を絞っていたインドネシアが同5倍と急増した。主力のタイも同94.1%増と伸長した。一方、中国は生産ラインの改修で稼働を停止したため同99.7%減の15台だった。国内生産も好調で同59.9%増の3万568台と、5カ月連続で増加。8社の国内生産では最も高い伸びとなった。北米向けの新型「アウトランダー」が好調で、輸出も前年比3倍だった。
スバルは国内外で半導体不足による生産調整を実施している。8月のグローバル生産台数は前年同月比28.0%減の5万7550台と2カ月連続で前年実績を下回った。半導体不足に加えて前年8月の生産がコロナ禍から回復していたことも影響した。特に海外生産で影響が大きく、同47.1%減の2万23台にとどまり、2カ月連続のマイナスだった。米国での受注は好調ながら車両の供給が追い付いておらず、在庫不足が深刻化している。国内生産も半導体不足で同10.8%減の3万7527台と2カ月連続のマイナス。これに伴い輸出も同3割減と低迷している。
8社の中で最も厳しい状況となったのがマツダだ。7月に続き大雨で本社工場と防府工場で稼働を停止した他、半導体不足、東南アジアからの部品供給難が発生。さらに中国・上海の空港でCOVID-19感染が確認されたことで貨物便による部品供給が滞り、稼働停止を余儀なくされた。その結果、主力の国内生産は前年同月比53.7%減の2万8113台と急減し、2カ月連続のマイナス。8月の実績としては開示している1979年以降で最少だった。車種別では、主力の「CX-5」「マツダ3」「CX-30」が軒並み半減した。
海外生産も低迷しており、前年同月比53.4%減の1万7974台と4カ月連続で減少した。国内生産同様、統計開始以来8月として最も少ない台数だった。タイは半導体不足による10日間の稼働停止などで同39.2%減と大きく減少。メキシコも半導体不足や東南アジアからの部品供給不足で同49.1%減と半減した。中国は販売減少に合わせて「CX-4」などの生産を絞った結果、同59.8%減と大幅に減らし、6カ月連続のマイナスだった。
国内外での大幅な減産により8月のグローバル生産台数は、前年同月比53.6%減の4万6087台と2カ月連続で減少した。8社の中で最も減少幅が大きく、台数ベースでも8社中最少。マツダの8月生産としても統計開始以来で最少の台数となった。
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