2021年上期の新車生産は2019年比13%減、変異株や半導体不足で回復半ば自動車メーカー生産動向(1/4 ページ)

2021年1〜6月(上期)の自動車産業は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による世界的な市場低迷から着実に回復している様子が伺える結果となった。日系乗用車メーカー8社の2021年上期のグローバル生産は、全社が前年実績を上回り、8社合計では前年同期比30.0%増と2桁パーセント増となった。

» 2021年08月30日 06時00分 公開
[MONOist]

 2021年1〜6月(上期)の自動車産業は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による世界的な市場低迷から着実に回復している様子が伺える結果となった。日系乗用車メーカー8社の2021年上期のグローバル生産は、全社が前年実績を上回り、8社合計では前年同期比30.0%増と2桁パーセント増となった。

 ただ、コロナ禍前の2019年の実績と比較すると13%減のマイナスであり、変異株の感染拡大により一部地域で依然としてロックダウンが続いていることや、世界的な半導体不足などが回復に水を差していることが分かる。6月単月の生産実績を見ても半導体不足の影響が広がっており、当面は地域ごとの需要回復への対応と供給台数の確保で両にらみの状態が続きそうだ。

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2021年上期は海外生産の回復が進む

 2021年上期の自動車生産は、世界各地でCOVID-19感染拡大からの回復が目立った。日系メーカーの主戦場である北米では、前年に3月から実施されたロックダウンなどで生産活動を停止したことの反動で、5社合計の上期トータルの生産台数は前年同期比38.2%増の241万9577台と大きな伸びを示した。

 いち早く市場回復が進んだ中国は2021年4月から減少傾向が続いていたが、5社合計の上期トータルでは同20.7%増の235万6920台と2桁パーセント増を確保した。コロナ禍からの経済回復が遅れていた東南アジアでも自動車需要の回復が進んでおり、東南アジアに海外活動の主軸を置くダイハツ工業や三菱自動車の海外生産も上期は大幅な伸びを示した。

2021年1〜6月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 1,558,436 2,958,751 985,328 806,875 4,517,187
20.0 46.9 61.6 26.4 36.3
ホンダ 316,493 1,817,263 694,805 785,874 2,133,756
▲ 14.3 29.3 20.6 30.0 20.3
日産 284,597 1,584,043 533,234 647,623 1,868,640
22.5 29.0 46.0 12.4 28.0
スズキ 451,330 1,033,195 - - 1,484,525
14.3 71.4 - - 48.8
ダイハツ 496,261 301,751 - - 798,012
19.4 46.1 - - 28.2
マツダ 418,604 184,186 69,149 85,897 602,790
43.3 ▲ 6.1 10.5 ▲ 16.6 23.5
三菱自 224,117 291,035 - 30,651 515,152
5.7 27.4 - 2.6 17.0
スバル 242,324 137,061 137,061 - 379,385
6.9 0.8 0.8 - 4.6
合計 3,992,162 8,307,285 2,419,577 2,356,920 12,299,447
16.0 38.1 38.2 20.7 30.0
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計

 海外に比べて回復の勢いが弱いのが国内生産だ。8社合計の上期トータルの生産台数は前年同期比16.0%増の399万2162台と2桁パーセント増は確保したものの、COVID-19感染拡大で生産活動が停滞した前年に比べると決して高い伸びとは言い難い。また、スズキやSUBARU(スバル)などが完成検査問題を受けて生産を絞っていた2019年と比較しても16%減と落ち込みが目立った。

 これは、ワクチン接種の遅れなどによって、欧米中の国内総生産(GDP)と比べて日本国内の経済回復が遅れていることが要因に挙げられる。このため自動車メーカーも海外向けの供給を優先しており、国内生産における半導体不足が深刻化している。その結果、人気の新型車の納期が長期化するなど、国内販売の回復遅れに拍車を掛ける状況となっている。

 足元の2021年6月の生産は前月の5月に比べて回復が鈍化している。2020年はCOVID-19の感染拡大がありながらも月を追うごとに生産が回復していたためだ。加えて半導体不足による生産停止も広がっている。世界的な半導体不足だけでなく、3月に発生したルネサス エレクトロニクスの工場火災の影響なども重なり、他社と比べて持ちこたえていたトヨタ自動車も半導体不足を理由に稼働停止に踏み切るなど、自動車メーカー各社が生産調整を余儀なくされている。

2021年6月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 294,387 537,146 196,481 144,440 831,533
84.1 25.2 28.8 ▲ 0.1 41.2
ホンダ 64,778 284,213 114,827 116,965 348,991
0.2 ▲ 12.5 ▲ 13.5 ▲ 31.0 ▲ 10.4
日産 35,586 260,829 79,113 123,008 296,415
42.5 11.9 29.4 ▲ 18.8 14.9
スズキ 62,250 195,743 - - 257,993
▲ 25.2 200.0 - - 73.8
ダイハツ 82,544 40,903 - - 123,447
18.9 38.8 - - 24.8
マツダ 72,350 26,569 11,233 11,180 98,919
111.7 ▲ 28.8 ▲ 4.5 ▲ 49.0 38.3
三菱自 31,669 43,252 - 6,083 74,921
28.3 75.2 - ▲ 33.9 51.8
スバル 50,560 23,733 23,733 - 74,293
69.2 ▲ 24.3 ▲ 24.3 - 21.3
合計 694,124 1,412,388 425,387 401,676 2,106,512
41.4 20.2 9.2 ▲ 19.2 26.5
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計
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