メーカー別に見ると、トヨタの2021年上期のグローバル生産台数は前年同期比36.3%増の451万7187台と2年ぶりに前年実績を上回った。グローバル販売が好調に推移しており、上期として過去最高を更新するとともに初めて500万台の大台を超えた。コロナ禍からの経済回復に加えて、世界各国で環境規制が強化される中、得意とするハイブリッド車(HEV)が販売をけん引した。
このうち海外生産は前年同期比46.9%増の295万8751台と2年ぶりの増加。地域別では、主力の北米が同61.6%増の98万5328台と大幅に回復し、5年ぶりにプラスへ転じた。2、3月は寒波による稼働調整を実施したが、前年がコロナ禍で生産停止を余儀なくされたことの反動増に加え、「ハイランダー」などライトトラックを中心に販売が好調だった。生産国別では米国は同62.2%増、カナダは同51.6%増、メキシコは同84.4%増と全ての国で伸長し、北米地域の好調ぶりが伺える結果となった。
アジアは同33.7%増の134万3179台で2年ぶりのプラスだった。このうち、いち早く回復した中国は「レビン」「アバロン」などが好調で同26.4%増の80万6875台。その他の国もCOVID-19感染拡大により前年が停滞していたため、タイが同50.2%増、インドネシアが同23.3%増、フィリピンが同118.9%増、マレーシアが同66.1%増など軒並み大幅な回復を見せた。欧州も一部の国で依然としてロックダウンが続いているものの、同44.6%増の42万1121台と回復している。
国内生産は同20.0%増の155万8436台と2年ぶりのプラス。2月には福島沖地震による部品供給不足で、6月は半導体不足で稼働調整を実施したが、「ヤリス」「ハリアー」など新型車の国内販売の好調や輸出台数の増加により、トヨタが掲げる年間国内生産300万台体制を維持することができた。
足元でも回復傾向は続いている。6月単月のグローバル生産は前年同月比41.2%増の83万1533台と、10カ月連続で前年実績を上回るとともに、6月として過去最高を更新した。海外生産も同25.2%増の53万7146台と10カ月連続の増加で、6月の過去最高を記録。主要市場の北米は、COVID-19感染拡大により前年の生産実績が低いことや、「ハイランダー」「カムリ」などのライトトラックやセダンの販売が堅調で同28.8%増と伸長し、4カ月連続のプラスだった。
アジアも、マレーシアがロックダウンで生産台数が0台となった他、中国ではアバロンの工場移管に伴う生産調整で同0.1%減と3カ月連続でマイナスとなったものの、アジア全体では同15.9%増と10カ月連続で増加するなど回復が続いている。欧州もロックダウンや部品供給不足の影響が出ているが、同16.5%増と4カ月連続で増加した。
6月の国内生産は84.1%増の29万4387台と4カ月連続のプラスだった。半導体不足によりトヨタ自動車東日本の2工場を最大で8日間稼働停止したが、世界各国での需要回復により輸出が伸びた他、国内市場向け「ハリアー」「ヤリス」などの新型車が好調で大幅増を確保した。
ホンダの2021年上期のグローバル生産は、前年同期比20.3%増の213万3756台と2年ぶりに前年実績を上回った。けん引役は海外生産で、同29.3%増の181万7263台と3年ぶりのプラスとなった。最大市場の中国は、前年にいち早く回復したため5月以降は前年割れが続いているが、「CR-V」などの販売が好調で同30.0%増の78万5874台と2年ぶりに増加するとともに上期として過去最高を更新。日系メーカーの中ではトップの伸び率だった。中国の好調により、アジアトータルでも同33.2%増の101万4886台と3年ぶりにプラスを確保した。
中国と並ぶ主力市場の北米も、寒波の影響や港湾トラブルなどに見舞われたが、前年がCOVID-19感染拡大により生産停止したことで同20.6%増の69万4805台と3年ぶりに増加。コロナ禍前の2019年の実績も上回っており、好調な様子が伺える。
海外が好調な半面、厳しいのが国内生産だ。同14.3%減の31万6493台と2年連続のマイナス。COVID-19感染拡大により生産調整を余儀なくされた前年と比べては7.6ポイント改善したものの、8社の国内生産では唯一の前年割れとなった。国内販売では、主力車種「フィット」の新型車効果が一巡し同40.7%減と大きく台数を落とした。登録車の車名別ランキングでも12位と振るわない。国内最量販車種の「N-BOX」も前年比ではプラスを確保したが、車名別ランキングではトヨタ「ヤリス」に抜かれ、上期としては5年ぶりに首位から陥落した。さらに半導体不足の影響も深刻で、新型車「ヴェゼル」は受注が好調なものの、納期が長期化しており懸念材料となっている。また、輸出も欧州向けが同64.7%減と低迷した結果、全地域合計も同49.8%減と半減した。
足元も依然として厳しい状況が続いている。6月単月のグローバル生産台数は前年同月比10.4%減の34万8991台と5カ月ぶりに前年実績を下回った。8社の中で6月のグローバル生産が前年割れとなったのはホンダのみで、ホンダの調達状況の厳しさが伺える。半導体不足やコロナ禍によるサプライチェーンの乱れなどで部品調達に支障をきたしている。国内生産は同0.2%増の6万4778台で2カ月ぶりにプラスとなったが、前年6月はCOVID-19感染拡大により2019年に比べて2割弱も減らしていることを考慮すると、回復しているとは言い難い。
海外生産はさらに厳しく、前年同月比12.5%減の28万4213台と5カ月ぶりのマイナスで、低水準の前年6月をさらに下回った。北米は同13.5%減の11万4827台と4カ月ぶりに減少。需要自体は悪い環境ではないだけに、部品供給が業績の足を引っ張る格好となっている。中国は同31.0%減の11万6965台で2カ月連続の前年割れ。いち早い市場回復により前年の水準が高いことも要因だが、半導体不足による稼働調整も響いている。その結果、アジアトータルでも同17.8%減の15万1935台と12カ月ぶりにマイナスへ転じた。
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