止まらない工作機械に貢献、DMG森精機が「修理復旧技能研修センタ」を新設FAニュース

DMG森精機は2021年9月30日、全世界の修理復旧担当者の育成および技能向上を目的に、伊賀事業所内のDMG森精機アカデミーに新しく「修理復旧技能研修センタ」を開設したと発表した。

» 2021年10月05日 07時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 DMG森精機は2021年9月30日、全世界の修理復旧担当者の育成および技能向上を目的に、伊賀事業所内のDMG森精機アカデミーに新しく「修理復旧技能研修センタ」を開設したと発表した。

photo 修理復旧技能研修センタでの研修の様子[クリックで拡大]

止まらない工場実現のために高まる修理復旧担当の重要性

 工作機械の多くは20年以上使用するのが一般的な製品であり、これらの機械を使用し顧客企業がビジネスを行っているために、故障などへの対応も含め、停止時間をできる限り低減することが求められる。そのため、全ての修理復旧担当者が、最新の機械だけでなくあらゆる年代の機械においても、対応できることが求められる。さらに、最近では自動化システムの需要の増加など、工作機械だけでなくその周辺機器やデジタル技術についても学習し、修理復旧に対応できる技能が求められている。

 そこで、DMG森精機では、以前から「DMG森精機アカデミー」において実施していた修理復旧技能の研修について学習範囲をさらに広げて習得する施設として「修理復旧技能研修センタ」を開設した。

 DMG森精機 執行役員の東成憲氏は「従来は機械が個別の工程1つをこなすというもので止まってもその工程が止まるだけのものだった。しかし、自動化や工程集約などにより止まることによる影響が大きくなっている。そのため、できる限り止まる時間を短くする修理復旧担当の役割が大きくなっている。一方で、今、工作機械で進んでいる5軸、自動化、デジタル化により、機器そのものや周辺の複雑さは増しており、研修の充実が必要だった」と役割について語っている。

 新たに開設した「修理復旧技能研修センタ」では、5軸複合加工機などの最新の機械をはじめ、日立精機製を含む古い機械、自動化システムのリニアパレットプールシステム(LPP)、MATRISを含む40台以上の機械を設置している。

photophoto 「修理復旧技能研修センタ」に設置されたさまざまな複合加工機(左)と、展示された1978年発売のCNC旋盤「SL-3」(右)[クリックで拡大]
photophoto モジュール式ロボットシステム「MATRIS」の研修(左)や協働ロボットのプログラム研修(右)なども行う[クリックで拡大]

 これらの設備を用いた豊富なカリキュラムによって、全世界の修理復旧担当者が、5 軸・複合化、自動化、デジタル化などに関する幅広い知識と技能を習得し、オールラウンドに対応できるスーパーサービスエンジニアの育成を進める。結果として、修理時間を短縮し、機械の稼働率を高めることで生産性向上に貢献する。

 さらに、修理復旧技能研修センタでは、安全作業について学び、労働災害や作業事故を撲滅するために「安全道場」を用意。社員全員が受講し、安全に対する意識を高める場所とする。また、工場まで自動車で向かう修理復旧担当者を中心に、安全運転の意識を高め、運転中の危険予知を養うために、自動車運転シミュレーターなども用意している。

photophoto 「安全道場」(左)やドライブシミュレーター(右)なども設置[クリックで拡大]

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