マイクロソフトとDMG森精機の協業が第2段階へ、工作機械をインテリジェント化IoT in Action Tokyo(1/2 ページ)

日本マイクロソフトは、IoTをテーマとするパートナーイベント「IoT in Action Tokyo」でDMG森精機との協業を発表した。同イベントの基調講演には、日本マイクロソフト 社長の平野拓也氏と、DMG森精機 専務執行役員の川島昭彦氏が登壇し、両社が目指すIoT活用の方向性を示した。

» 2019年01月23日 06時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 日本マイクロソフトは2019年1月22日、東京都内で開催したIoT(モノのインターネット)をテーマとするパートナーイベント「IoT in Action Tokyo」において、DMG森精機との協業について発表した。同イベントの基調講演には、日本マイクロソフト 社長の平野拓也氏と、DMG森精機 専務執行役員の川島昭彦氏が登壇し、両社が目指すIoT活用の方向性を示した。

日本マイクロソフトの平野拓也氏(左)とDMG森精機の川島昭彦氏(右) 日本マイクロソフトの平野拓也氏(左)とDMG森精機の川島昭彦氏(右)(クリックで拡大)

 DMG森精機は現在、工作機械向けに展開するソフトウェアソリューション「CELOS Club(セロスクラブ)」を社内サーバで運用しているが、これを2019年春をめどに日本マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Azure」に移行する。両社は2016年9月に、「工作機械を中心とする制御システムのセキュリティ、スマートファクトリーの実現に向けた技術協力」を発表しているが※)、今回の協業はその延長線にあるものだ。

※)関連記事:加速するスマート工場、DMG森精機はパートナーにマイクロソフトを選ぶ

稼働情報の可視化ソフトウェアをAzureへ移行、センサーデータの収集も

 DMG森精機の川島氏は、基調講演において、自動車の電動化やAI(人工知能)、高齢化といったさまざまな社会変化の中で、工作機械を主力事業とする同社も新たな取り組みを進める必要が出ていると訴えた。同氏が挙げた「五軸化/複合化」「自動化」「デジタル化」に向けた取り組みのうち、デジタル化で重要な役割を果たしているのが、工作機械のインテリジェントな制御盤として展開する「CELOS」だ。

DMG森精機の「CELOS」などデジタルファクトリー関連の展開 DMG森精機の「CELOS」などデジタルファクトリー関連の展開(クリックで拡大) 出典:DMG森精機

 CELOSでは、購入してから10年以上は使い続けられる工作機械をソフトウェアによって進化させられるソリューションとしてCELOS Clubを提供している。川島氏は、CELOS Clubのアプリケーション例として「DMG MORI MESSENGER」を紹介。「IoTという言葉が知られるようになるはるか以前の10年前から取り組みを進めてきた、工作機械の稼働情報を可視化するソフトウェアだ。現時点で、2300社/4600台の工作機械で利用されている」(同氏)という。

「DMG MORI MESSENGER」の概要 「DMG MORI MESSENGER」の概要(クリックで拡大) 出典:DMG森精機

 現在は社内サーバで運用しているDMG MORI MESSENGERだが、DMG森精機が工作機械のデジタル化やCELOS、CELOS Clubの展開を拡大していくとなれば、それ併せてユーザー数や扱うデータ量なども増えていく。そのような状況下で、さらにシステムの更新などの運用管理まで行うと膨大な作業が発生してしまう。川島氏は「そこで2017年ごろに、セキュリティ関連を中心に協力を重ねていた日本マイクロソフトに、DMG MORI MESSENGERのAzureへの移行について打診した」と説明する。

 また、DMG森精機の工作機械に組み込まれているさまざまなセンサー情報を用いたサービスについても、Azureを活用していく方針も打ち出した。現在の工作機械からは、電流や電圧などの電気系、オイルや冷却材などの温度系、振動などの機械系、そしてDMG MORI MESSENGERで見られる稼働情報など、さまざまなセンサーデータが得られる。「これらのセンサーデータをAzureに収集してAIで分析し、加工効率の向上や故障予知、予防保全などにつなげ、工作機械のダウンタイムを短縮する」(川島氏)という。

工作機械から得られるさまざまなセンサーデータAIによる将来性 工作機械から得られるさまざまなセンサーデータ(左)とAIによる将来性(右)(クリックで拡大) 出典:DMG森精機

 DMG森精機では、CELOSによる工作機械のインテリジェント化だけでなく、工作機械をつないで実現する工場のインテリジェント化や、工場間をつないでの企業レベル、さらにはユーザー企業とのその顧客をつないでの社会レベルに至るまで、インテリジェント化の展開を想定している。川島氏は「要素技術の進化が組み合わさることで、今後も劇的なイノベーションが起こるだろう。その時代の先端をマイクロソフトと一緒に走っていきたい」と述べている。

DMG森精機が考えるインテリジェント化の展開 DMG森精機が考えるインテリジェント化の展開(クリックで拡大) 出典:DMG森精機
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