DMG森精機と日本マイクロソフトは、工作機械を中心とする制御システムセキュリティと、スマートファクトリー実現に向けて、技術提携を行うと発表した。
DMG森精機と日本マイクロソフトは2016年9月9日、工作機械を中心とする制御システムのセキュリティとスマートファクトリーの実現を目指し、技術協力することを発表した。両社でセキュリティも含めた工場におけるIoTプラットフォームの構築を進める。
製造業を取り巻く環境は大きな変化を迎えている。ドイツのインダストリー4.0をはじめとするスマート工場化の動きが広がりを見せており、製造現場のIoT(Internet of Things、モノのインターネット)化が加速している。
こうした動きは工作機械メーカーのDMG森精機にも大きな影響を与えている。DMG森精機 取締役社長の森雅彦氏は「工作機械における顧客の要望は、以前はどれだけの重量でどれだけの精度で加工ができるかというような機器のスペックを中心としたものだった。しかし、最近ではどれだけの品質向上があるかなど結果として価値を、ソリューションという形で提供することを求められるようになってきている。これらの流れの中、DMG森精機でも機器の種類を増やすのではなく、アプリケーションなどソフトウェアの領域でニーズに対応する形に、開発の方向性を変化させてきた」と工作機械の変化について述べている。
これらの状況に対しDMG森精機では、同社が持つ機械、組み込みソフト、HMI(ヒューマンマシンインタフェース)、オープンイノベーション(外部協力)という4つの構成を要素を組み合わせ、工具やソフトウェアなどをセットで最適なソリューションとして提供する「テクノロジーサイクル」というサービスを展開してきた。
さらにこれらを高度化するために、工作機械のスマート化や工場のスマート化などにも取り組んでいく方針だ。DMG森精機では既に国内を中心とした約1万台の工作機械に対しては、KDDIの3G回線を利用した遠隔保守サービスを提供。稼働実績のモニタリングサービスやレポート配信サービスなどを用意し、「予防保全の効果として導入工場では数%の効果が出るなど、明らかな効果が出ている」(森氏)とするなど、実績を残している。
一方で海外などに同様の遠隔サービスを展開するには携帯電話回線では難しい。インターネットを利用すれば可能だが、ここで浮上するのがセキュリティの問題である。
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