金属3Dプリンタの全方位作戦に出るDMG森精機 : 3Dプリンタニュース
DMG森精機は「3D Printing 2018」に出展し、新たに加えたパウダーベッド方式などラインアップを広げる金属3Dプリンタ製品群をアピールした。
DMG森精機は「3D Printing 2018」(2018年2月14〜16日、東京ビッグサイト)に出展し、新たに加えたパウダーベッド方式などラインアップを広げる金属3Dプリンタ製品群をアピールした。
DMG森精機では2014年から積層造形(アディティブマニュファクチャリング)機能を組み込んだ複合型の5軸加工機の展開を開始。金属3Dプリンタと旋盤加工を組み合わせたハイブリッド金属複合加工機など、金属3Dプリンタと工作機の複合機を中心に展開を進めてきていた。これらの複合機は、積層と切削を組み合わせることで、最終的な形状に近い形で材料を積層することで材料の無駄を抑えることが可能になるなど、さまざまなメリットがある(※) 。しかし、製品の費用的には高額となることから導入が進みにくいという状況がある。
※)関連記事:3Dプリンタ機能を加えた“足し引き自在”の金属加工機投入が本格化
こうした状況から金属3Dプリンタ機能のみを切り出した専用機の展開も開始した。これらの機種の積層造形技術は、ハイブリッド型の複合機用に開発したダイレクトエナジーデポジション(Directed Energy Deposition)を採用。これは金属粉末とレーザーを同時に照射し、積層と溶融を同時に実現する方式で、造形速度が速いという特徴がある。一方で、金属粉末を吹き付けて高温で溶かすことから、素材によっては爆発の危険性があり、そのため材料に制限が多いという難しさがあったという。
そこで2017年2月に、積層造形技術にパウダーベッド方式を採用するドイツのREALIZERを子会社化し、パウダーベッド方式の金属3Dプリンタの展開を開始した※) 。
※)関連記事:DMG森精機がパウダーベッド方式の金属3Dプリンタに参入
パウダーベッド方式を用いた金属3Dプリンタ「LASERTEC 30 SLM」とDMG森精機のブース(クリックで拡大)
DMG森精機セールスアンドサービスのAM商品部部長 ブルーメンシュテンゲル健太郎氏は「それぞれの特徴が異なるラインアップをそろえられた。従来のパウダーノズル方式(ダイレクトエナジーデポジション採用のもの)は高速である点や、金型や部品の補修でも使える点などが利点だ。異種金属を組み合わせて接合することもできる。一方で網目など複雑な形状のものはパウダーベッド方式の方が得意で、パウダーノズル方式では使用できないチタンが使える点などが強みとなる。両方を持つことで全方位で展開できる」と述べている。
金属3Dプリンタ付き複合加工機「既に方式を検討する段階は終わっている」
DMG森精機は「JIMTOF2016」において、金属3Dプリンタと旋盤加工を組み合わせたハイブリッド金属複合加工機「LASERTEC 4300 3D」を出展。JIMTOF2016では多くの企業が金属3Dプリンタ付き複合加工機を出展したが、同社取締役社長の森雅彦氏は「方式をどうこうする段階は終わっている」と考えを述べている。
足し引き自在で効果は無限大! 金属3Dプリンタと切削加工の複合機投入が本格化
「第27回日本国際工作機械見本市(JIMTOF 2014)」で大きな見どころの1つとなったのが、工作機械と金属3Dプリンタの複合機だ。金属を「足す」3Dプリンタと金属を「引く」切削加工機が組み合わさることでモノづくり現場にどういう価値をもたらすのだろうか。
3Dプリンタの“脱・試作”は日本式モノづくりでこそ生きる――GE 刈羽工場
“夢の製造装置”として期待を集める3Dプリンタ。しかし、描いた夢とは裏腹に、いまだに20年前から定着する試作品用装置の域を抜け出せずにいる。こうした中でいち早く金属3Dプリンタでの最終製品製造に取り組む工場がある。新潟県刈羽郡刈羽村のGEオイル&ガス 刈羽事業所だ。
世界1位の工作機械メーカーが目指すインダストリー4.0
ドイツの国家プロジェクトである「インダストリー4.0」を筆頭に、世界で生産革新への取り組みが進んでいる。こうした動きを、工作機械の世界シェアトップで、“日独連合”企業であるDMG森精機はどう捉えているのか。DMG森精機 代表取締役社長の森雅彦氏が同社の経営戦略について語った。
スマートファクトリーはエッジリッチが鮮明化、カギは「意味あるデータ」
2017年はスマートファクトリー化への取り組みが大きく加速し、実導入レベルでの動きが大きく広がった1年となった。現実的な運用と成果を考えた際にあらためて注目されたのが「エッジリッチ」「エッジヘビー」の重要性である。2018年はAIを含めたエッジ領域の強化がさらに進む見込みだ。
スマートファクトリーがいよいよ現実解へ、期待される「見える化」の先
ドイツのインダストリー4.0がきっかけとなり関心が高まった、IoTを活用したスマートファクトリー化への動きだが、2017年は現実的成果が期待される1年となりそうだ。既に多くの実証成果が発表されているが、2017年は、実導入ベースでの成功事例が生まれることが期待される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.