本連載の第23回や第65回で触れたように、米国の保健医療行政機関がDX(デジタルトランスフォーメーション)施策を本格化させる中、変革ツールとしてブロックチェーン/分散台帳技術が注目されている。
本連載第23回や第65回で触れたように、米国の保健医療行政機関がDX(デジタルトランスフォーメーション)施策を本格化させる中、変革ツールとしてブロックチェーン/分散台帳技術が注目されている。
米国の医療分野におけるブロックチェーン/分散台帳技術利用は、オバマ政権下で始まった保健福祉省(HHS)のオープンイノベーション推進策が発端となっている。例えば、2016年7月6日、HHS傘下の国家医療IT調整室(ONC)は、「医療ITおよび医療関連研究におけるブロックチェーンとその新たな役割」(関連情報)と題する通知を公表し、ブロックチェーン技術と医療ITおよび/または医療関連研究データにおける利用の可能性をテーマとしたホワイトペーパーを公募する「ブロックチェーン・チャレンジ」を開始している。
ONCは、ブロックチェーンについて、改ざんを防止する秘密鍵を利用して、タイムスタンプの記録や署名を可能にするデータ構造であり、そのタイプには、パブリック型、プライベート型、コンソーシアム型の3つがあるとした上で、医療分野で想定されるブロックチェーンの適用領域として、以下のような例を挙げている。
その後2016年8月29日、ONCは、表1の通り、「ブロックチェーン・チャレンジ」の入賞者を発表した。
ブロックチェーン技術の適用想定領域を見ると、医事会計に代表される病院情報システム(HIS)に加えて、電子医療記録(EMR)/電子健康記録(EHR)、臨床情報システム(CIS)、プライバシーエンジニアリングなど、多岐にわたっていることが分かる。
さらにONCは、2017年3月14〜15日、医療ブロックチェーン・コードアソン(Code-A-Thon)を開催している(関連情報)。本イベントでは、オープンソースの分散台帳技術と医療固有の標準規格を利用して、以下の3つの領域のうちいずれかに取り組むことを課題としている。
このように、オープンイノベーションを活用した施策のアウトプットは、トランプ政権下の保健医療行政機関に引き継がれていくことになる。
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