2015年7月に掲載した連載第1回では、米国のヘルスIT戦略計画を取り上げた。2016年11月からトランプ政権が発足したが、これに合わせてあらためて米国の医療業界を所管する行政サイドのIT戦略を見ていこう。
2017年3月15日、米国連邦政府の行政管理予算局が2018会計年度(2017年10月〜2018年9月)予算案を発表した(関連情報)のに先立ち、保健福祉省(HHS)は、「情報技術(IT)戦略計画2017-2020」を公表している(図1参照、関連情報、PDFファイル)。
HHSは、オバマ政権時代の2014年12月に制定された「修正連邦IT調達改革法(FITARA法)」に基づき、2015年9月に「連邦IT調達改革法 HHS実行計画(以下、FITARA実行計画)」(関連情報、PDFファイル)を制定していた。
図2は、FITARA実行計画に合わせて示された、HHSのITガバナンスフレークワークである(関連情報)。HHS全体のITガバナンスについては、最高情報技術責任者(CIO:Chief Information Officer)の統括下に、AMD(Administration and Management Domain)、SRD(Scientific Research Domain)、HHSD(Human Services Domain)の3つのドメインを柱とするIT運営委員会(ITSCs)、CIO評議会、エグゼクティブ評価委員会が所管する。その下で、食品医薬品局(FDA)、疾病予防管理センター(CDC)など、各部門(OpDiv/StaffDiv)レベルのITガバナンスが機能する仕組みになっている。
このような体制下で、FITARA実行計画は、IT投資における透明性の強化とガバナンスの改善、包括的なIT戦略、計画から実行までの効率的なIT管理、強力で効率的なIT要員をIT改革の柱に掲げている。
このような基本的枠組を踏まえて策定されたのが、今回の「情報技術(IT)戦略計画2017-2020」であり、図3はその概要を示している(関連情報、PDFファイル)。
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