本連載第23回で米国保健医療行政のIT戦略を取り上げたが、その後、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが加速している。
連載第23回で米国保健医療行政のIT戦略を取り上げたが、その後、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが加速している。
2020年10月30日、保健福祉省(HHS)傘下の国家医療IT調整室(OCN)は、「2020-2025年連邦医療IT戦略計画」(関連情報、PDF)を公表した。
HHSは、オバマ政権時代の2009年2月に成立した「2009年米国再生再投資法(ARRA法)」および「経済的および臨床的健全性のための医療情報技術に関する法律(HITECH法)」に基づき、2015年9月に「2015-2020年連邦医療IT戦略計画」(関連情報、PDF)を策定していた。
またHHSは、2014年12月に制定された「修正連邦IT調達改革法(FITARA法)」に基づき、2015年9月に「連邦IT調達改革法 HHS実行計画(以下、FITARA実行計画)」(関連情報、PDF)を制定し、それらを踏まえて、2017年3月に「2017-2020年情報技術(IT)戦略計画」(関連情報、PDF)を制定するなど、自組織のDXにも積極的に取り組んできた。
このようなデジタルヘルス/デジタルガバメントの潮流を踏まえて、今回公表された計画は、2016年12月に制定された、医学研究の拡大と新たな医薬品・医療機器の認可の迅速化を目的とする「21世紀医療法」(関連情報)の方針を反映させて改訂したものである。
参考までに、21世紀医療法を起点とする医療イノベーション関連事例としては、本連載第39回の「Apple Watch Series 4」向けECGアプリで利用されたDe Novo分類申請、第44回のAPIを介した医療データの相互運用性標準化などがある。
新たな計画では、ビジョンとして「情報を利用して、個人を関与させ、費用を低減し、高い品質のケアを提供し、個人および全住民の健康を向上させる健康システム」を掲げ、ミッションとして「それが最も重要な時や場所で、アクセス可能な技術・健康情報を利用して、個人やコミュニティーの健康とウェルビーイングを向上させる」を掲げている。
ONCは、このビジョンやミッションを踏まえ、表1のような連邦保健原則を提示している。
その上で、図1のような2020-2025年連邦医療IT戦略計画のフレームワークを示している。
具体的な目標および目的は以下の通りである。
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