本連載第26回で触れたようにHHSは、一貫して保健医療分野の組織横断的な取り組みに注力しており、今回公表した医療IT戦略計画の策定作業においても、25以上の連邦政府機関と連携している。
このような取り組みの背景にあるのが、一般調達庁(GAO)と行政管理予算局(OMB)が中心となり展開している、「大統領マネジメント・アジェンダ(PMA)」に基づくDX推進施策だ(関連情報)。米国連邦政府は、PMAの展開を加速させるために、組織横断的な「クロスエージェンシー・プライオリティ(CAP)」目標を設定し、「2010年政府業績評価(GPRA)現代化法」(関連情報)で要求される連邦政府業績計画のコンポーネントとして提供している。
図2は、連邦政府機関全体レベルにおけるCAP目標のカテゴリーを示したものである。
具体的なカテゴリーおよび構成要素は以下の通りである。
そして図3は、「トランスフォーメーションの主要ドライバー」のカテゴリーにある「ITモダナイゼーション」のフレームワークを示したものである。
このフレームワークは、「連邦ITモダナイゼーションに関する報告の機会」「政府機関ITトランスフォーメーションの優先順位」「管理ITの優先順位」から構成される。
「連邦ITモダナイゼーションに関する報告の機会」では、連邦政府全体のITインフラストラクチャの老朽化が進行する中で、提供するITサービスの変革と、セキュリティへの取り組み状況に関する報告に焦点を当てている。
「政府機関ITトランスフォーメーションの優先順位」では、資金調達手法に関わらず、一般調達庁のエンタープライズ・インフラストラクチャ・ソリューション(EIS)契約(関連情報)に代表される政府調達コストの低減を掲げている。
さらに「管理ITの優先順位」では、以下の3点を挙げている。
米国連邦政府機関のDXプロジェクトでは、リスクベースアプローチによるサイバーセキュリティ対策や人材育成施策が初期段階から組み込まれるのが一般的だ。
本連載第41回で取り上げた国土安全保障省(DHS)傘下のサイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)や、HHS傘下の保健セクター・サイバーセキュリティ調整センター(HC3)の創設の動きも、CAP目標の方向性と整合性が保たれていることが分かるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.