米国で具体的な動きを見せていた医療機器のサイバーセキュリティ対策は、トランプ政権に移行する中で、製品レベルから医療産業全体のサイバーセキュリティエコシステム構築へと広がりつつある。
◆◇本連載第14回◆(http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1605/26/news014.html)で、オバマ政権の米国サイバーセキュリティ法が医療機器開発に及ぼす影響を取り上げた。トランプ政権下では、製品レベルから医療産業全体のサイバーセキュリティエコシステム構築へと広がりつつある。
2017年6月2日、米国保健福祉省(HHS)の医療産業タスクフォースは、「医療産業におけるサイバーセキュリティ向上に関する報告書」(関連情報、PDFファイル)を公表した。同タスクフォースは、「2015年サイバーセキュリティ情報共有法」および「サイバーセキュリティ国家行動計画」基づき、保健医療分野の組織横断的な取組として、HHSが2016年3月に設置した組織である。本報告書の策定作業には、ライフサイエンス企業のほか、医療機関、医療保険者、サイバーセキュリティ団体などが関わった。
図1は、医療サイバーセキュリティを取り巻く環境について、報告書が指摘した事項を示している。
人、モノ、カネに限界のある状況下で、深刻化する医療サイバーセキュリティのリスクにどう対処していくかは、米国に限らず世界各国の医療産業が直面する共通課題だ。
このような状況を踏まえ、タスクフォースは、以下のような責務を掲げている。
タスクフォースの報告書では、責務6項目それぞれについて、具体的な提言と行動アイテムを提示している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.