アボットメディカルジャパンは、日本初となる経皮的三尖弁接合不全修復システム「TriClipシステム」の製造販売承認を取得した。低侵襲な治療が可能で、治療後の重症度軽減やQOLの向上が確認された。
アボットメディカルジャパンは2025年7月22日、日本初となる経皮的三尖弁接合不全修復システム「TriClip(トライクリップ)システム」が、同月17日に製造販売承認を取得したと発表した。
TriClipシステムは、薬物治療では三尖弁逆流症の重症度が改善されず、かつ高齢や他の疾患を抱えているなど外科的手術が最適ではないと判断された患者に対し、カテーテルによる低侵襲な治療を可能にする。大腿静脈からカテーテルを挿入し、先端のクリップで三尖弁の弁尖を留め、血液の逆流を軽減する。クリップサイズは4種類を展開し、幅広い治療選択肢を提供する。
国内のAMJ-504臨床試験において、同システムの安全性と有効性を評価したところ、37人の被験者全員が、術後12カ月時に生存し外科手術も回避できた。また、術後12カ月時の心不全による年間入院率は1人の患者当たり0.03件だった。
また、心不全患者のQOL(Quality of Life)を評価するKCCQ(カンザスシティ心筋症質問票)のスコアが、術後12カ月時に15ポイント以上改善した患者の割合は22%を占めた。さらに、術後30日時に三尖弁逆流症の重症度が中等度以下に下がった被験者は80%で、そのうち46%は軽度となった。重症度の軽減は術後12カ月時でも持続していた。
海外(アメリカ、カナダ、ヨーロッパ)で実施したTRILUMINATE ピボタル試験において、薬物療法のみの患者群(対照群)と、薬物療法とTriClipでの治療を受けた患者群(同製品群)を比較した結果は、治療から2年後の心不全再入院率が同製品群は有意に減少した。また、三尖弁逆流症の重症度が中等度以下に軽減した患者は対照群が21%、同製品群は84%に達した。対照群が後からTriClip治療を受けた場合の、再入院率やKCCQスコアの改善例も示されている。
TriClipシステムは、2020年に第一世代のTriClipがCEマークの認証を取得して以来、欧米をはじめ50カ国以上で利用されている。日本での発売は、2026年春を予定している。
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