私の役割が重要だということですか。
そうね。うまくいっている企業は“三位一体”の座組で進めているところが多いもの。
“三位一体”の座組というのはどういうことですか?
現場の専門家とデジタル技術の専門家に加えて、これらを交通整理する推進役の人を加えて、3つの役割の人を組み合わせて進めるということよ。
なるほど。現場とデジタル技術の専門家間に立つ推進役としての役割を果たすということですね。
製造現場とデジタル技術、それぞれの専門家同士が対等の形で組み合わせても、それぞれの主張がぶつかり合う場合がどうしても多くなってしまいます。そのため、結局企業内の立場や役割などの影響を受け、軋轢(あつれき)なども発生し、正しく進められないような場合も生まれてきます。
そこでこれらを円滑に進めるために、スマートファクトリー化の本質的な目的を保った上で、両者の考え方をすり合わせ、言葉などを翻訳しながら推進する調整役としての部門や役割を設置するところが、成功企業の中では増えてきています。たまたま、両者の間に立てる人材を抱えている場合は、これらを兼任するようなケースも見られますが、新たにこうした座組を作り、この調整役の人材を育成するような取り組みが増えています。
「推進役」として必要な資質にはどういうものがあるのでしょうか。
将来的には先述したように製造現場とデジタル技術のそれぞれが分かり1人で進められるというのが理想だとは思うけれど、今は最低限両者の考え方や基本が分かって、“翻訳”できるようになればよいと思うわ。そして、それぞれの役割をスマートファクトリー化の目的に合うようにすり合わせることよね。
うわあ。大変そうだ。
まあ、そんな難しいことを考える必要はなくて、今矢面さんがやっているようなことをそのままやればいいんじゃないかしら。
こうした製造現場とデジタル技術を結ぶ人材については、現在育成が始まったばかりで、まだまだ正しい形や教育方法やノウハウなども非常に少ないといえるでしょう。その中では、まずは、それぞれの知見に耳を傾けて、すり合わせを行うということが求められます。そして、各企業や現場によって得られたノウハウを共有し、広げていくことでさらにこれらを高めていくというサイクルが求められています。そういう意味では「推進役」にはこうした新たな領域に挑戦する気概が最も求められるのかもしれません。また、企業としては、組織としてこうした「推進役」を積極的にサポートするということも必要なのだと考えます。
さて今回はスマートファクトリー化で多くの製造現場が頭を悩ませる座組について議論を行いました。次回も、製造現場において失敗するパターンや見過ごされがちなポイントについてさらに掘り下げたいと考えています。
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