スマート化で露呈する工場のサイバー攻撃への弱さ、安定稼働を守るための考え方いまさら聞けないスマートファクトリー(10)(1/4 ページ)

成果が出ないスマートファクトリーの課題を掘り下げ、より多くの製造業が成果を得られるようにするために、考え方を整理し分かりやすく紹介する本連載。前回から製造現場でつまずくポイントとその対策についてお伝えしていますが、第10回では、スマート工場化で避けて通れなくなったサイバーセキュリティ対策について説明します。

» 2021年07月15日 12時30分 公開
[三島一孝MONOist]

 スマートファクトリー化は製造業にとって大きな関心事であるにもかかわらず、なかなか成果が出ない課題を抱えています。本連載では、スマートファクトリーでなかなか成果が出ないために活動を縮小する動きに危機感を持ち、より多くの製造業が成果を得られるように、考え方を整理し分かりやすく紹介してきています。第10回となる今回は、スマートファクトリー化で同時に考える必要があるサイバーセキュリティの問題について取り上げます。

本連載の趣旨

 本連載は「いまさら聞けないスマートファクトリー」とし、スマートファクトリーで成果がなかなか出ない要因を解き明かし、少しでも多くの製造業がスマートファクトリー化で成果が出せるように、考え方や情報を整理してお伝えする場としたいと考えています。単純に解説するだけでは退屈ですので、架空のメーカー担当者を用意し、具体的なエピソードを通じてご紹介します。

架空企業の背景

 従業員300人規模の部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長である矢面辰二郎氏はある日、社長から「第4次産業革命を進める」と指示され途方に暮れます。そこで、第4次産業革命研究家の印出鳥代氏に話を聞きに伺い、さまざまな課題をクリアしていきます。


本連載の登場人物

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矢面 辰二郎(やおもて たつじろう)

自動車部品や機械用部品を製造する部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長兼IoTビジネス推進室室長。ある日社長から「君、うちも第4次産業革命をやらんといかん」と言われたことから、どっぷりのめり込む。最近閉塞感にさいなまれている。


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印出 鳥代(いんだす とりよ)

ドイツのインダストリー4.0などを中心に第4次産業革命をさまざまな面で研究するドイツ出身の研究者。インダストリー4.0などを中心に製造業のデジタル化についてのさまざまな疑問に答えてくれる。サバサバした性格。


*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。

前回のあらすじ

 さて、前回のおさらいです。第9回の「“柔軟に変化する生産ライン”のカギであるAGV、その価値と課題」では、導入が進んでいるAGV(無人搬送車)への期待と課題について紹介しました。従来は、同じものを大量・高速に搬送する場合は、ベルトコンベヤーなどの機械化、一方、少量で搬送コースが複雑になるものは人手、というかたちですみ分けて行われていた工場内搬送ですが、自律移動できるAGVが登場したことで、この一部が置き換わろうとしているということでした。

 ただ、そこで重要になるのが“搬送の前後のつながり”で費用対効果を生み出せるのかということでした。

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当たり前だけど「搬送」というのは、どこかで何かを受け取って、それをどこかに運び、受け渡すという一連の作業よね。「運ぶ」という作業の他に正しく「受け取る」「受け渡す」という作業が必要で、それをAGVやAMRに行わせる仕組みが必要になるわ。こうした前後も含めた一連のソリューションを構築しても費用対効果を得られるのかということを考えるべきだということよ。


 また、AGVが注目されているのは、マスカスタマイゼーション実現のためのキーパーツであるという意味もありましたね。

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マスカスタマイゼーションを行うには、受注に合わせて生産するものが変わるような仕組みが必要になるわ。ラインをその都度作り替えることは難しいから、ワークを作業工程ごとのワークステーション間で自由に行き来させながら作るワークショップ型のモノづくり体制が必要になるの。その“自由に行き来させるもの”としてAGVが期待されているのよ。



 さて、今回はスマート工場化を進めれば進めるほど危険性が高まるサイバー攻撃に対し、工場でのセキュリティ対策の必要性と現実的な取り組み方について議論していきたいと思います。

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