大阪大学は、子どもが睡眠中に歯ぎしりをするメカニズムを明らかにした。歯ぎしりは睡眠周期に合わせて繰り返し増減し、レム睡眠へ移行する浅いノンレム睡眠で頻繁に発生した。
大阪大学は2021年7月5日、子どもが睡眠中に歯ぎしりをするメカニズムを明らかにしたと発表した。歯ぎしりは睡眠周期に合わせて繰り返し増減し、レム睡眠へ移行する浅いノンレム睡眠で頻繁に発生した。その期間は、寝返りや一時的な脳波の変化も生じた。
明らかな睡眠の病気がなく、発達に問題のない6〜15歳の子ども44人を対象に、ポリソムノグラフィーによる睡眠検査を実施したところ、27.3%にあたる15人に歯ぎしりが認められた。歯ぎしりをする子としない子では、脳波や心拍、体動などを指標とする睡眠の質に差はなかった。
睡眠には、眼球が素早く動き脳波が起きている状態と似た状態で交感神経活動が活発になるレム睡眠と、そうではないノンレム睡眠がある。ノンレム睡眠は、睡眠の深さによって3段階に分類され、深い睡眠では脳波にδ波が出現し、副交感神経活動が優位になる。
歯ぎしりをする子は、睡眠周期の後半であるノンレム睡眠からレム睡眠に移行する浅いノンレム睡眠に歯ぎしりの発生が集中した。その際、交感神経が活発になったことを示すδ波の減少は、歯ぎしりをする子としない子で違いはなかった。
一方、体動数や脳の覚醒の指標となるβ波は、歯ぎしりをする子の方が高かった。また、約90%の歯ぎしりが、短い覚醒や体動とともに発生した。このことから、睡眠周期に伴う脳内活動の変化に対して、顎の神経機構が過剰に反応することで歯ぎしりが生じる可能性が示された。
睡眠中に歯ぎしりをする睡眠関連疾患を睡眠時ブラキシズムと呼び、子どもでは約20%に発生する。ひどい歯ぎしりでは、乳歯が大きくすり減ったり顎に痛みを生じたりすることもあるが、これまで子どもの歯ぎしりのメカニズムについては不明だった。今回の結果から、診断法や治療法の開発に向けた新たな研究の発展が期待される。
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