東北大学は、歯がない高齢者は、短時間・長時間睡眠になるリスクが高いことを明らかにした。歯が0本の人では短時間睡眠のリスクが1.4倍、長時間睡眠のリスクが1.8倍になることが分かった。
東北大学は2018年10月5日、歯がない高齢者は、短時間・長時間睡眠になるリスクが高いことを明らかにしたと発表した。歯が0本の人では短時間睡眠(4時間以下)のリスクが1.4倍、長時間睡眠(10時間以上)のリスクが1.8倍になるという。
同研究では、高齢者の現在の歯の本数と、短時間睡眠・長時間睡眠との関連を検証した。検証に用いた2万548名の平均年齢は73.7歳で、歯が0本の人たちでは短時間睡眠が3.3%(100人)、長時間睡眠が9.0%(272人)だった。これに対し、歯が20本以上の人たちでは、短時間睡眠が2.3%(160人)、長時間睡眠が2.8%(195人)と少なかった。
これを検証した結果、歯の本数と睡眠時間との間に、U字型の統計的に有意な関連が認められた。つまり、歯が20本以上の人たちと比較して、0本の人たちは短時間睡眠であるリスクが1.4倍、長時間睡眠であるリスクが1.8倍と、有意なリスクが認められた。同様に、残っている歯が1〜9本の人たちでも、短時間睡眠のリスクが1.3倍、長時間睡眠のリスクが1.5倍高いという結果になった。このように、歯が1〜9本の人よりも、歯が0本の人たちで強い関係(強いU字型)が認められた。
高齢者における睡眠は、短すぎても長すぎでも、健康問題に影響を及ぼすことが知られている。歯は噛み合わせを保つ役割も担っており、歯がない人は下顎が上方回転し、気道に影響を与えて睡眠時の呼吸を妨げる可能性があると言われている。同研究により、より多くの歯を残せるよう歯の健康を保つことが適切な睡眠時間の維持、ひいては健康長寿につながる可能性が示唆されたとしている。
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