東北大学は、65歳以上の地域在住高齢者約7万人を対象にした研究で、入れ歯の手入れを毎日しない人は、過去1年間の肺炎発症リスクが1.30倍高かったことを発表した。毎日の入れ歯の手入れが、肺炎予防につながることが示唆された。
東北大学は2019年11月5日、65歳以上の地域在住高齢者約7万人を対象にした研究で、入れ歯の手入れを毎日しない人は、過去1年間の肺炎発症リスクが1.30倍高かったことを発表した。同大学大学院歯学研究科 准教授の相田潤氏が明らかにした。
高齢者の多くは入れ歯を装着しているが、入れ歯の表面にはデンチャー・プラークと呼ばれる細菌などからなる有機物が付着している。それらが誤嚥により肺に到達し、肺炎を引き起こす可能性がある。
今回の研究では、従来研究対象とされてきた入院患者や介護施設入所者ではなく、要介護認定を受けていない、地域在住の高齢者を対象に調査を実施。入れ歯の清掃頻度と過去1年間の肺炎発症との関連性を調査した。
その結果、対象者のうち、過去1年間に肺炎を発症した人は2.3%で、入れ歯を毎日は清掃しないという人は4.6%だった。入れ歯を毎日清掃する人では、過去1年間に肺炎を発症した人は2.3%だったが、毎日は清掃しない人では3.0%だった。75歳以上では、毎日清掃する人の発症率は2.9%で、毎日は清掃しない人は4.3%と発症リスクが高くなった。
また、傾向スコアを用いた統計解析により、65歳以上の全対象者では、毎日は清掃しないことでリスクが1.30倍高く、75歳以上では1.58倍高くなることが分かった。
これらの結果から、入院患者や介護施設入所者ではない地域在住高齢者でも、毎日の入れ歯の手入れが肺炎予防につながることが示唆された。
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