理化学研究所、日本大学、東京大学は、新型コロナウイルスが紫外線照射により不活化する原因は、ウイルスRNAの損傷にあることを発見した。紫外線照射前後で、ウイルスの形態やタンパク質量に変化はなかった。
理化学研究所は2021年7月5日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が紫外線照射により不活化する原因は、ウイルスRNAの損傷にあることを発見したと発表した。日本大学、東京大学との共同研究による成果だ。
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新型コロナウイルスを含む液体培地に、波長253.7nmの紫外線を500μW/cm2の放射照度で30cm離れた距離から照射したところ、30秒間の照射で新型コロナウイルスの感染性が99.99%減少した。
照射前後でウイルスの形態に変化はなく、ウイルスタンパク質の量にも違いはなかった。現在、医療現場でウイルス検出のために使用されている定量PCR法でウイルスのRNA量を測定しても、紫外線照射による明らかな違いは認められなかった。
そこで、ウイルスRNAの損傷の計測に適した定量PCR法を新たに開発し、測定した。その結果、紫外線の照射時間に伴ってウイルスRNAが減少しており、ウイルスゲノムの損傷が確認された。
現在用いられている定量PCR法では、特定の遺伝子領域のみを増幅するため、全領域をカバーする6種類のRNA量を測定する定量PCR法でウイルスRNAを測定。全領域で紫外線照射によってウイルスRNA量が減少し、ゲノムの損傷と感染性を持つウイルスの量と間に高い相関性が認められた。
紫外線が新型コロナウイルスを不活化することは報告されているが、そのメカニズムは不明だった。今回の研究結果から、紫外線はウイルスRNA全体を損傷させることが判明し、変異体についても有効であることが示唆された。紫外線は生体に有害であるため、無人環境における効率的なウイルス不活化への応用が期待される。
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