2つ目は、先端ロジック半導体の設計開発への取り組みと、それらを活用するHPC(high-performance computing)や5G通信インフラ、自動走行などを対象とした車載コンピューティング、FAやIoT(モノのインターネット)といった分野でのアプリケーションシステム開発への投資である。先端ロジック半導体の技術開発と市場での需要喚起を同時に進める。このためには先端ロジック半導体のユーザー企業と設計企業、通信キャリアベンダーが一体となり、共通の課題に取り組む必要があると刀禰氏は説明する。
3つ目は、今後産業界のグリーン化の進展に伴い重要性が増すと考えられる、パワー半導体の研究開発である。刀禰氏は「パワー半導体分野については国内企業も海外企業と比較して十分な競争力を有している」と指摘する。しかし、将来的にはSiCやGaNなど次世代パワー半導体が重要になると考えられており、これらの分野の技術開発も今後一層必要になる。刀禰氏は「2兆円規模で用意されているグリーンイノベーション基金の一部を活用することも視野に入れて、電源システムを支える技術開発を促進する」と語った。
4つ目は、国内半導体産業のポートフォリオとレジリエンス(復元力)の強化である。刀禰氏は「先端ロジック半導体分野は国内半導体産業のミッシングピースとなってしまった。しかし、国内には、NANDメモリやCMOSイメージセンサー、パワー半導体、マイコンなどの分野でグローバルな市場占有率を持つ国内企業が存在する」と指摘する。これらの分野の衰退を防ぐため、デジタル化やグリーン化といった社会動向に合わせた技術開発に向けた投資や支援が必要になると語った。
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