三菱電機が新中計、5つの重点成長事業で2025年度に売上高5兆円と営利10%目指す製造マネジメントニュース(2/2 ページ)

» 2021年06月04日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
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5つの重点成長事業に重点投資、M&Aなどの戦略投資で5000億円を用意

 5つの重点成長事業は、FA制御システムならシーケンサーやサーボ、CNC(数値制御装置)、空調冷熱システムなら高効率コンプレッサーとインバーター、電動化/ADASなら小型高出力モーターや高効率インバーター、パワーデバイスならIGBTやSiC(炭化シリコン)といったようなコアコンポーネントが市場競争力の源泉となる。このコアコンポーネントに、フィールドナレッジと先進デジタル技術を掛け合わせることで生み出す「統合ソリューションの提供拡大」が、重点成長事業を計画通り成長させていく上で重要になる。

三菱電機の統合ソリューションの考え方5つの重点成長事業における統合ソリューションの方向性 三菱電機の統合ソリューションの考え方(左)と5つの重点成長事業における統合ソリューションの方向性(右)(クリックで拡大) 出典:三菱電機

 この「統合ソリューションの提供拡大」では、独自のコンパクトなAI(人工知能)技術「Maisart」や、IoT(モノのインターネット)基盤である「ClariSense」などを活用していく。

「統合ソリューションの提供拡大」のイメージキー技術となる「Maisart」と「ClariSense」 「統合ソリューションの提供拡大」のイメージ(左)とキー技術となる「Maisart」と「ClariSense」(右)(クリックで拡大) 出典:三菱電機

 なお、5つの重点成長事業の2025年度売上高目標は、FA制御システムが2020年度の2650億円に対して3500億円以上、空調冷熱システムが2020年度の8100億円に対して1兆1000億円以上、ビルシステムが2020年度の5000億円に対して6500億円以上、電動化/ADASが2020年度の1000億円に対して300億円以上、パワーデバイスが2020年度の1500億円に対して2400億円以上と、それぞれ野心的な目標を設定した。

 新中計の5か年における資源投入は2兆8000億円で前中計の2兆円を大きく上回る。そして重点成長事業への投入比率も44%から60%に高めるなど集中的な予算配分とした。また、M&Aなどの戦略投資は前中計の1000億円に対して5000億円に積み増しており、「経営基盤の強化」に向けた社内業務DX(デジタルトランスフォーメーション)推進への1000億円超の投資をはじめ、情報セキュリティ強化も含めて2000億円の予算を計上している。

資源投入は5つの重点成長事業に重点配分する 資源投入は5つの重点成長事業に重点配分する(クリックで拡大) 出典:三菱電機

 2025年度の売上高5兆円、営業利益率10%という目標に対して、2020年度は売上高4兆2000億円、営業利益率5.5%、2021年度予想は売上高4兆5000億円、営業利益率5.8%で、特に利益率では大きな隔たりがある。「目標達成に向けて、M&Aなどの戦略投資の5000億円を有効活用していく」(杉山氏)という。

新中計における売上高と営業利益率の推移 新中計における売上高と営業利益率の推移(クリックで拡大) 出典:三菱電機

温室効果ガス排出量の目標は「2050年実質ゼロ」に見直し

 経営方針に新たに加えたサステナビリティ関連では、「脱炭素化の対応を含むサステナビリティへの取り組み」を推進する。具体的には、これまでの「環境ビジョン2050」で掲げていた2050年の温室効果ガス排出量を2013年度比で80%削減という目標を「2050年実質ゼロ」に見直す。これは、政府が発表した2050年のカーボンニュートラル達成という目標に合わせたものだ。

温室効果ガス排出量の目標は「2050年実質ゼロ」に見直した 温室効果ガス排出量の目標は「2050年実質ゼロ」に見直した(クリックで拡大) 出典:三菱電機

 目標達成に向けて、電力CO2排出量係数低減、製品の低消費電力化、生産時のCO2排出量抑制、パワーデバイスの高効率化などの取り組みを進める。杉山氏は「当社のバリューチェーン全体のCO2排出量のうち、製品の生産によるCO2排出量の占める割合は0.5%ほどだ。重要なのは、再生可能エネルギー導入拡大の貢献や製品からの排出抑制、高効率なパワーデバイスの市場普及拡大といった取り組みになるだろう」と述べている。

温室効果ガス排出量「2050年実質ゼロ」に向けた取り組み 温室効果ガス排出量「2050年実質ゼロ」に向けた取り組み(クリックで拡大) 出典:三菱電機

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