大阪大学と北海道大学は、PCR法を活用した感染性ウイルスの作出技術CPER法を用いて、従来法より大幅に作製時間を短縮した簡便な新型コロナウイルス人工合成技術を開発した。ウイルスの遺伝子改変も簡単にできる。
大阪大学は2021年4月13日、PCR法を活用した感染性ウイルスの作出技術Circular Polymerase Extension Reaction(CPER)法を用いて、新型コロナウイルスを2週間で人工合成する技術を開発したと発表した。北海道大学との共同研究による成果だ。
今回の研究では、デング熱に関係するフラビウイルスのワクチン開発に活用されたCPER法を新型コロナウイルスに応用。まず、末端領域が重なるように設計したウイルス遺伝子断片とプロモーターを含むリンカー断片をPCRで増幅させ、各断片が隣り合う断片と重なることでウイルス遺伝子全長をコードする環状のDNAを作製した。
この環状DNAを細胞に導入すると、細胞中でDNAを基にRNAが合成され、さらにこのRNAを基にウイルスが合成される。CPER産物を導入してから約7日間で、合成した新型コロナウイルスを回収できた。新型コロナウイルスの人工合成にかかる期間はわずか2週間で、従来法の数カ月間から大幅に時間を短縮した。
また、蛍光タンパク質を導入したウイルスや任意の遺伝子を変異させたウイルスも作出できる。複雑な遺伝子操作を必要とせず、ウイルスの遺伝子改変が容易にできるため、変異ウイルスにも迅速に対応する。
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