シーメンスヘルスケアと医療法人の伯鳳会グループが共同開発した災害医療、発熱外来、健診、往診、巡回診療向けのアドバンストモビリティソリューション「Medical-ConneX(メディカル・コネクス)」について説明。1号機は、伯鳳会グループ傘下の東京曳舟病院に納入され、主に東京DMATと連携した災害医療向けに活用される計画だ。
シーメンスヘルスケアと医療法人の伯鳳会グループは2021年4月2日、オンラインで会見を開き、両者で共同開発した災害医療、発熱外来、健診、往診、巡回診療向けのアドバンストモビリティソリューション「Medical-ConneX(メディカル・コネクス)」について説明した。Medical-ConneXの1号機は、伯鳳会グループ傘下の東京曳舟病院(東京都墨田区)に納入され、主に東京DMAT(Disaster Medical Assistance Team)と連携した災害医療向けに活用される計画だ。
Medical-ConneXは、2017年に救急災害医療における機器運用でパートナーシップを結んだシーメンスヘルスケアと伯鳳会グループが、患者とドクターが「つながる」こと、いつどこにいても質の高い医療に「つながる」ことなど、「つなぐ」をコンセプトに開発したものだ。シーメンスヘルスケア 社長の森秀顕氏は「プレシジョン・メディシンの拡充、医療サービス提供の変革、ペイシェント・エクスペリエンスの向上、医療のデジタル化の推進という、当社が掲げる医療機関の価値向上に向けた4つの要素全てで貢献できるのがMedical-ConneXだ」と語る。
Medical-ConneXは、CT装置や超音波装置、検体検査機器などを搭載する検査用車両と、検査用車両に電力を供給するとともに試料保管用冷蔵庫や医療ITシステムなども搭載する電源用車両の2台で構成されている。台風や地震など電源確保が難しい救急災害医療では2台での運用が基本となるが、喫緊のコロナ禍における仮設の医療所などで活用する場合には検査用車両単独での運用も可能だ。
外傷初期診療のPS(プライマリーサーベイ)やSS(セカンダリーサーベイ)には、さまざまな検査機器が必要になる。しかし、設置スペースに限りのある救急災害医療の検査用車両にこれらの検査機器を搭載するには2つの課題があったという。シーメンスヘルスケア キーアカウント・マネジメント本部 キーアカウント第二営業部 部長の山本宣治氏は「1つは、水を使う検体検査装置を車載できるどうか。もう1つは、大型の装置であるCT装置をどうやって車両空間内に設置し、画像診断の専門医がいない状況下で活用できるようにするかだった」と説明する。
検体検査装置を車載する課題については、わずかな水の備蓄量で測定可能で、東日本大震災の後でも再稼働した実績があり、100V電源で動作する免疫生化学分析装置「Dimension EXL 200 Refresh」を採用することで解決した。一方、CT装置を車載する課題については、シーメンスヘルスケアが開発したタブレット端末で操作できる「SOMATOM go.UP」で対応した。また、2020年6月に医療機器承認を得た「AI-Rad Companion」により、専門医ではない現場医師の画像診断を支援することも可能になった。検査用車両と電源用車両の2台構成としたことで、もともと電源用に想定していたスペースを使って簡易ベッドを用いた超音波検査も行えるようにした。
一方、電源用車両には遠心機や血液ガス分析装置などの検体検査関連装置を設置するとともに、本格的な医療ITシステムとの連携も行えるようにシーメンスヘルスケアのサーバ「TeamPlayレシーバー」を搭載している。
Medical-ConneXは、救急災害医療をターゲットに開発されたが、その他の用途での活用も想定されている。例えば、コロナ禍で注目を集めている発熱外来のための仮設病棟や、健康診断、へき地医療などだ。「まずは東京曳舟病院への納入に注力するが、日本発で世界初のソリューションとして海外展開を含めて広く提案していきたい」(山本氏)という。
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