今回発表したパラレジンジャパンコンソーシアムはパラレジンの普及、共同技術開発を促進する目的で設立された組織である。2030年までに年間20万t規模のパラレジン使用プラスチックを安定的に供給することを目指す。日本政府は2030年までにバイオマスプラスチック約200万tの導入を掲げており、その1割を占める計画ということになる。
コンソーシアムは幹事企業としてユーグレナ、エプソン、NECの3社が、一般参画企業/団体として縁舞、KISCO、KOBASHI HOLDINGS、新菱冷熱工業、日東電工、日本紙パルプ商事、バイオポリ、LIXIL、リコーテクノロジーズ、佐賀市がそれぞれ参加する。また、特別顧問には東京大学 大学院農学生命科学研究科 教授の岩田忠久氏が就任。
主に幹事企業3社が連携して、パラレジンの安定供給体制を確立するための取り組みを進める。
エプソンは古紙などの廃棄物由来の糖源の生成と規格化を担当する。古紙を細長い繊維に分解する独自技術「ドライファイバーテクノロジー」を用いて、培養に必要な糖源を生成するプロセスの確立を目指す。
ユーグレナは糖類を含む培養液を調整して、パラミロンを高密度かつ高効率で生成する手法を研究する。加えて、パラミロンをより多く含有するようなミドリムシの品種を探索、育種する予定もある。
NECはパラミロンに加熱流動性を付与して誘導体化してペレットにした上で、添加材料を付与して複合材料化、パラレジンとして成形するまでの工程を担当する。今後は生産したパラレジンを回収し、リサイクルする方法なども研究開発する計画だという。
バイオマスプラスチックが石油由来のプラスチック製品を代替することで、1t当たり約1.86tのCO2の削減効果が見込める。ユーグレナ 代表取締役の出雲充氏は「現在、国内で生産されているバイオマスプラスチックは年間約4万tといわれているが、これは消費量全体の1%に満たない割合だ。政府が掲げるバイオマスプラスチックの2030年までの導入目標である200万tにもほど遠く、このままでは日本は環境政策の実効性において世界に後れを取りかねない。パラレジンの製品化を通じて、サステナビリティ社会の実現に貢献したい」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.