おはようございます。1週間乗り越えましたね。お疲れさまでした。先週の小欄にてApple(アップル)の自動車参入についてつらつらと熱く語ったのですが、現代自動車や起亜自動車との交渉が決裂したとの報道が出てきました。交渉の内容が世に出てくることはないのでしょうけれども、どんな条件が提示され、どの部分を飲めないと思ったのか、気になってしまいますね。
おはようございます。1週間乗り越えましたね。お疲れさまでした。先週の小欄にてApple(アップル)の自動車参入についてつらつらと熱く語ったのですが、現代自動車や起亜自動車との交渉が決裂したとの報道が出てきました。交渉の内容が世に出てくることはないのでしょうけれども、どんな条件が提示され、どの部分を飲めないと思ったのか、気になってしまいますね。
日系自動車メーカーの決算ラッシュの中、会見の質疑応答で「アップルカー」の交渉の有無を尋ねる記者もいました。「何も聞いていない」(スバル)、「報道でしか情報がない」(ホンダ)という回答があった一方で、日産自動車はイエスでもノーでもないコメントを残しています。
日産自動車 社長の内田誠氏は決算会見で「単なる移動手段としてだけでなく、クルマは社会に新たな価値をどう提供できるか。従来の自動車産業の枠組みを超えた活動が必要だ。各領域で優れた経験や知見を持つ企業がパートナーシップやコラボレーションを活用したり、新たな企業が自動車に参入したりする可能性はある。“100年に1度の大変革”をチャンスと捉えて、チャレンジし続けていきたい。企業の価値がいろいろな形で問われる。日産としての企業価値を示すことに専念したい」と述べました。
またこれまでと同じように、アップルの自動車参入はいつの間にか立ち消えになるのかもしれませんし、本当に自動車メーカーがパートナーになって新たなパートナーシップの形を示すのかもしれません。正式な発表があるまで、ああだこうだと騒いでも仕方ありませんが、イメージトレーニングの題材としてはかなり面白いと思いました。
例えば、アップルにとって自動車はどんなデバイスなのか。プライバシーを特に重視するアップルが移動に関するサービスをどう手掛けるのか。アップルが車載バッテリーを狙っているとして、収益の算段をどのようにつけるのか。自動車メーカーにとってアップルカーの製造受託はプラスかマイナスか、マイナスだとして何がマイナスでどうすればその影響を減らせるのか。想像する切り口がいくらでもありそうです。みなさんなら、どこに着目してイメージトレーニングしますか?
さて、自動車に関連する企業の決算会見で、アップルカーどころではない関心を集めたのは車載半導体の供給不足でした。日系自動車メーカーの中で比較しても車載半導体の供給の影響には濃淡がありますが、GM(General Motors)は1カ月以上にわたって複数の工場で生産を休止するなど多大な影響が出ているようです。「半導体の供給逼迫(ひっぱく)によって足元で減産があるかというと、ない」と言い切ったトヨタ自動車と比べると、あまりにも大きな違いです。
半導体不足の影響を食い止めている理由について決算会見で質問されたトヨタ 執行役員の近健太氏は、取引するサプライヤーとのコミュニケーションが重要だと回答しました。
「半導体供給不足のリスクはあるので、日々、週次、月次でティア1サプライヤーだけでなくその先の仕入れ先や半導体メーカーも含めたコミュニケーションをとり、状況を細かく見極める。1日10回も電話会議をやることがあると調達部門から聞いている。供給逼迫は2021年の夏まで続くという声もあるが、調達部門やサプライヤーの反応では回復は夏までかからないという感触だ」(近氏)
コミュニケーションがあってこそ、トヨタからは確度の高い生産計画を月次から3年先まで提示することができ、サプライヤーも部品によって1〜4カ月の在庫をBCP(事業継続計画)対策で持つことが可能だといいます。また、トヨタでは過去に部品の供給が途絶えた経験から「レスキュー」というシステムを導入し、サプライチェーンのどこにリスクがあるかを初動で見える化する取り組みを行ってきました(関連記事:コロナ禍で止まった世界中の自動車生産、改めて考えたい「BCP」)。
民生用と半導体の生産リソースが取り合い状態になっていることに関しては、「どう割り振ってもらえるかについては、今後1年、2年、3年でどれだけ半導体が必要なのか、ティア1サプライヤーだけでなくその先の仕入れ先も含めてコミュニケーションしていく」(近氏)としています。
今週はルネサス エレクトロニクスの2020年12月期(2020年1〜12月)の通期決算も発表されました。決算説明会ではもちろん、半導体の供給の見通しについて質問が集中します。状況としては、ルネサスとしても受注残が積み上がっており、需要に追い付けていません。自動車向けの供給不足はもちろん、受注残は自動車以外の分野向けの方が多いとしています。
まずは「どのくらい半導体が足りていないのか」という質問へのルネサスの回答を紹介します。オートモーティブソリューション事業本部 副事業本部長の片岡健氏は「製品によって濃淡はある。内製の前工程の稼働率はまだ100%に至っていないが、外注先やファウンドリーの生産ラインは非常に混雑している。受注残の状況を考えるとキャパシティーの100%を超えている」とコメントしました。
執行役員兼オートモーティブソリューション事業本部 副事業本部長の真岡朋光氏は「本当にどれだけ足りていないのかは見えにくいが、お客さんにとってクリティカルな製品を優先して供給し、ラインが止まるのを防いでいくという状況だ。海外の後工程のキャパシティーと需要を見ると、2020年12月の時点で130%、1月で150%という状況だ。駆け込み需要などもあったが、いずれにしても高いパーセンテージで不足している。自動車だけでなく自動車以外も含めてこの状況だ」と述べました。
現時点で、これらの需要に過剰な調達によるものは含まれていないとのことです。ただ、ルネサスとしては需要に応えるだけでなく、薄くなった在庫を一定の水準に戻さなければなりません。ただでさえ強い需要に加えて上回って生産していく必要があります。在庫の在り方について、社長兼CEOの柴田英利氏は「半導体の需要側の業界も巻き込んで、在庫管理の在り方がどうあるべきか、議論が進展していくだろう。これによって、サプライチェーン全体として持つべき在庫の水準を引き上げるというアクションが起きてくるのではないか」とみています。
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