デンソーウェーブが産業用ロボット向けのAI模倣学習システムを2021年3月に発売:産業用ロボット(2/2 ページ)
AIは日々新しい技術が登場し、頻繁にバージョンアップが行われるのが当たり前の世界である。一方で、FA業界では生産性を実現するために、高い信頼性や安定した品質、長期安定供給などのニーズがあり、文化的に異なる。「AI模倣学習」では、デンソーウェーブがこの課題に対して、間に立ち両者の条件に適合する形とした。具体的にはメジャーバージョンアップは1年に1回行う形とするが、旧バージョンでも長期提供を続けることを保証する形とした。また、リリース後3年のバグフィックスも行うという。さらに、過去に構築した推論モデルやトレーニングデータは、バージョンアップをしなくても使い続けることが可能である他、最新バージョンで使用することも可能とするという。
製品は学習と推論をパッケージにしたものと、推論のみのものの2種類を用意する。価格はオープン価格だとしている。
AIの早い進化とFAの長期安定供給の両立を実現(クリックで拡大)出典:デンソーウェーブ
内部実証としては、抹茶を使った粉体秤量(ひょうりょう)やビンピッキング、コンセント挿入などを実施。AI模倣学習により、ロボットの自律的作業で一定の成果が得られた事例を示した。
例えば、茶筒に入った抹茶を3Dカメラで認識し、ロボットが自動ですくい取って別のはかりに載せる動作を100回のトレーニング、5時間の学習時間で動作させることができたという。また、茶筒の中の抹茶が山状になっており、その位置が変わった場合でも同じ推論モデルで問題なくすくい取るという実証や、同じ推論モデルですくうターゲットの重さなどを決めて行うような実証を行い、一定の成果を得たという。
デンソーウェーブ FA・ロボット事業部 ソリューションビジネス推進部 商品企画室の井戸本武士氏は「PoC(概念実証)ではトレーニング時間などもあり大きな成果とはいいがたい結果もあったが、一定レベルでそれぞれの目的に近づけられる実証結果を得られている。またロボットの動作としても決まりきったものはプログラムし、そうでない部分だけをAIに担わせるなど柔軟な形が可能だ」と語っている。
粉体秤量の実証の様子。システム構成(左)と、抹茶の重さでターゲットを決めてすくう推論動作(右)(クリックで拡大)出典:デンソーウェーブ
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