ユニバーサルロボットの日本支社は2025年6月から提供する新たなサービス体制について説明した。日本に修理施設を開設し、修理リードタイムを短縮するなど、ユーザーサポートを強化する。
ユニバーサルロボットの日本支社は2025年4月22日、東京都内で記者会見を開き、同年6月から提供する新たなサービス体制について説明した。
ユニバーサルロボットは2025年5月に日本国内では初となるサービスハブ(修理施設)を福岡県内に設置する他、部品倉庫を関東圏に開設し、同年6月1日より修理業務を開始する。協働ロボットのジョイントや基板、ティーチングペンダントの修理などに応じる。
サービスハブの設立は本社のあるデンマーク、米国、中国、メキシコ、インドに次いで6カ所目となる。これまで修理作業はデンマーク本社で行っていたため、輸送期間を含めて約1カ月かかっていた。
国内に修理体制を構築することで、約1週間での対応が可能になり、生産ラインへの影響を最小限に抑える。サービスハブは、将来的に関東または中部圏への移管を目指している。
訪問サポートはこれまで代理店に任せてきたが、今後はユニバーサルロボットの担当者も実施する。また、24時間の電話対応もスタートする。
ユニバーサルロボット 日本支社 代表の山根剛氏は「既存のユーザーが導入台数をさらに増やす場合や、新規のユーザーが導入を検討する際に、これまでのわれわれのサービス体制ではちゅうちょしたり、競合の体制と比較して不安や不満を持たれたりするケースがあった。今回のサービス体制の強化によって市場を広げることができると考えている」と話す。
山根氏は、現状の協働ロボット市場を“踊り場”と見る。近年、右肩上がりで導入台数を伸ばしてきた協働ロボットだが、2023年のグローバルの導入台数は前年比2%減となった。
ユニバーサルロボットでは、全世界で1.6億人が製造業に従事しており、そのうちの14%、2200万人が自動化可能な仕事を行っていると分析。そして、これまでの協働ロボットの導入台数では自動化できた仕事は5%に満たず、市場拡大の余地はまだあると見ている。
「今後のポテンシャルを見ても、協働ロボットは産業用ロボットに比べて高い伸びを示すはずだ。だからこそ、今が“踊り場”と考えている」(山根氏)
最大の課題は、自動化を妨げている要因にあり、それらは複数あると見る。導入コストや投資対効果に加え、協働ロボットの導入に適した多品種少量生産の現場の自動化は、従来の産業用ロボットを使った大量生産の現場よりも難しく、推進できる人材も不足している。
これまで自動化を進めてきた企業でも、現在の協働ロボットの技術ではさらなる自動化を進める作業がなかなか見つからないケースもあるという。また、ユニバーサルロボットにとっては、サポートが十分ではないことも課題だった。
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