大成建設は、「第21回 インターフェックス ジャパン」において、産業用ロボットによりさまざまな液体を秤量できるAI(人工知能)披露した。
大成建設は、「第21回 インターフェックス ジャパン」(2019年7月3~5日、東京ビッグサイト)において、産業用ロボットによりさまざまな液体を秤量できるAI(人工知能)披露した。
この展示は、同社が2017年から開発を進めている「力触覚伝達型遠隔操作システム」の最新の技術開発成果となる。遠隔地にある産業用ロボットの操作について、力触覚を伝達することでより正確で無駄なく行えるようにするシステムであり、これまでもデンソーウェーブやベッコフオートメーション、VR(仮想現実)ベンチャーのexiii(イクシー)などと連携して開発を進めてきた※)。
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その中で、ロボットで行う作業として難易度の高い「液体の秤量」に注目。人が遠隔地から産業用ロボットを操作して液体を秤量するプロセスを何度か繰り返し、その内容を深層学習することにより、液体の秤量を自動で行う推論アルゴリズムを開発した。このAIは、先述した3社やAIベンチャーのエクサウィザースなどが開発した「マルチモーダルAI」に基づいている。
液体の秤量を命じると、ロボットハンドが液体のびんをつかんでから、びんを揺らす。ロボットの横に設置したカメラが、液体表面の揺れ方を見て液体の粘度などを認識する。この粘度を基にして、秤量のために用意された別のびんに液体を徐々に注ぐ。「液体を秤量するAIの学習には一晩ほどかかるが、その後は液体の種類を変えてもそれに合わせて正確に秤量してくれる。人間が秤量するよりも精度は高い」(大成建設の説明員)という。
今後、力触覚伝達型遠隔操作システムの展開として、月面や宇宙空間における機器操作を地球上から行ったり、その動作を学習して自動で行ったりする可能性も検討している。ANAホールディングスとJAXA(宇宙航空研究開発機構)が宇宙関連事業の立ち上げを目指す「AVATAR X Program」に大成建設も参加しており、これらの技術を提案していく構えだ。
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