AIとロボットの組み合わせは工場自動化に何をもたらし、何をもたらさないのかMONOist IoT Forum 大阪2019(中編)(1/3 ページ)

MONOist、EE Times Japan、EDN Japan、スマートジャパン、TechFactoryの、アイティメディアにおける産業向け5メディアは2019年1月22日、大阪市内でセミナー「MONOist IoT Forum in 大阪」を開催した。大阪での同セミナー開催は3度目となる。中編では特別講演のOKIデータ 生産統括本部 LED統括工場 生産技術部 第2チームチームリーダーの新井保明氏と、同社技術開発本部 要素技術センターチームリーダーの谷川兼一氏による講演「ロボットを用いたAI生産システム」の内容を紹介する。

» 2019年03月25日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 MONOist、EE Times Japan、EDN Japan、スマートジャパン、TechFactoryの、アイティメディアにおける産業向け5メディアは2019年1月22日、大阪市内でセミナー「MONOist IoT Forum in 大阪」を開催した。大阪での同セミナー開催は3度目となる。

 中編では特別講演に登壇した、OKIデータ 生産統括本部 LED統括工場 生産技術部 第2チームチームリーダーの新井保明氏と、同社技術開発本部 要素技術センターチームリーダーの谷川兼一氏による「ロボットを用いたAI生産システム」の内容を紹介する。

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OKIデータが工場で取り組んだAIとロボットの連携による自動化

 OKIデータによる講演「ロボットを用いたAI生産システム」では、群馬県高崎市にあるOKIデータ LED統括工場で実現したロボットとAIを組み合わせた生産の自動化システムについて紹介した。

 OKIデータ LED統括工場は、OKIデータの中で、LED印字ヘッドおよびLEDモジュールのグローバルマザー工場としての役割を担っている。LED印字ヘッドは、主力製品の1つであるLEDカラープリンタの基幹部品だ。マザー工場としての位置付けから同工場では積極的な生産性革新を進めてきたが、その土台として構築したのが仮想工程管理システムである「OPTAS」である。

 半導体の製造工程ではさまざまな工程を異なる工場が担うことになる。これらの品質を管理するためには、工程情報などを一元的に管理する必要がある。そのためOKIデータでは1999年から製造工程における設備ログの収集を開始。2010年にはこれらのログを活用する工程管理システムを構築した。これが「OPTAS」の基盤となる。

 さらに、2013年にこれらの工程管理データの活用を海外工場にも適用し、2015年からは複数工場を結んで一元的にチップからモジュールまでの個体によるトレーサビリティーを実現できる今の姿になったという。

photo OKIデータ 生産統括本部 LED統括工場 生産技術部 第2チームチームリーダーの新井保明氏

 例えば、このOPTASにより品質向上につながった例もあるという。OKIデータの新井氏は「どのLEDチップがどのCOB(Chip on Board)に搭載されたか、どのプリンタに搭載されたかがすぐに分かる。LEDチップの性能にはどうしてもバラツキが生まれるが、LEDチップの品質情報と、LEDヘッドの品質情報を組み合わせて解析することで、不良率を70%低減した例などもある。解析時間なども100分の1に短縮できた」と成果について述べている。

 これらのグローバルでの工場の生産情報や工程情報を一元化できる情報基盤をベースとしてさらに、工程の改善と自動化に取り組んだのが「ロボットを活用したAI自動生産システム」への取り組みである※)

※)関連記事:“お手製AI”でロボットを強化学習、技術者工数を10分の1にしたOKIデータの革新

ロボットを活用したAI自動生産システムへの取り組み

photo OKIデータ 技術開発本部 要素技術センターチームリーダーの谷川兼一氏

 ロボットを活用したAI生産システムに取り組んだ理由として、OKIデータの谷川氏は「2つの自動化」について述べる。

 「1つは工場における人手不足の問題がある。これを解決するために『作業の自動化』を進める必要があった。これにはロボットを活用した。もう1つが生産現場の作業自動化における技術者工数の増大化の問題である。自動化を進めれば進めるほど生産技術者は現場でプログラム開発の負荷などが高まることになり、工数が大幅に増大する。これを抑制するために『思考の自動化』を進める必要があった。ここにAIを活用した」と谷川氏は取り組みについて述べている。

 具体的に「ロボットを活用したAI自動生産システム」で実現したのは、外販用のLEDモジュールのパーツ組み立てや検査に関わる一連の工程の無人化である。「形成」「組み立て」「固着」「特性検査」の4つの自動装置と、カワダロボティクスの双腕ロボット「NEXTAGE」を組み合わせて、ロボットが自発的に最適な判断を行う無人ラインを構築した。ロボットは主に装置間の「搬送」を担う。

photo ロボットとAIによる無人生産ラインを実現したOKIデータ LED統括工場 出典:OKI
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