レーザー技術生かして半導体分野進出目指すアマダ、共創施設の活用も拡大工作機械(1/2 ページ)

アマダは、ユーザーとの共創施設「AMADA Global Innovation Center」(AGIC)で事業戦略に関する記者会見を開催した。

» 2025年05月30日 08時00分 公開
[長沢正博MONOist]

 アマダは2025年5月22日、ユーザーとの共創を目的とした同社の施設「AMADA Global Innovation Center」(AGIC、神奈川県伊勢原市)で事業戦略に関する記者会見を開催した。

売上高5000億円へ、2つのM&Aでさらなる成長

 アマダは2024年度(2024年4月〜2025年3月)の決算で、売上高は前年度比1.7%減の3966億円、営業利益が同13.2%減の490億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が同20.3%減の323億円、受注高が同2.2%減の3728億円となった。

 アマダ 代表取締役社長の山梨貴昭氏は「2023年〜2025年度までの中期経営計画では売り上げ収益4000億円を目指している。2024年度は前年に次ぐ、2番目に高い水準となった。2025年度は中計の最終年度となり、経営基盤の強化と新商品によって収益を確保する」と意気込む。

アマダの2024年度(2025年3月期)の決算概要 アマダの2024年度(2025年3月期)の決算概要[クリックで拡大]出所:アマダ

 アマダは2030年度までに売り上げ5000億円、ROE(自己資本利益率)10%以上などを掲げる長期ビジョンも策定しており、成長分野への事業領域拡大を目指している。その一環として、2025年1月に大型プレス機のエイチアンドエフを約177億円で、同年4月にハイエンドプリント基板の穴あけ機のビアメカニクスを約510億円で買収することを発表した。

アマダ 代表取締役社長の山梨貴昭氏 アマダの山梨氏

 アマダでは現在、グループ会社のアマダプレスシステムが中小型のプレス機を製造販売している。一方、エイチアンドエフは、自動車用の大型プレス機を展開している。

 山梨氏は「自動車産業の構造の変化や再編が加速する中、各自動車メーカー、Tier1サプライヤーとの接点をより一層強化し、情報を早期に収拾することが可能となる。アマダとエイチアンドエフの強みを融合することで、プレス事業の市場拡大を目指す。さら、アマダグループのレーザー加工、溶接、材料加工技術を自動車メーカーやTier1に展開するなど。グループ全体のシナジーを発現できる。両者のシナジーを創出することで、プレス事業においてトップシェアを狙う」と話す。

長期ビジョン達成に向けた取り組み[クリックで拡大]出所:アマダ

 ビアメカニクスは、半導体業界におけるプリント基板、パッケージ基版の加工機市場において、特にハイエンド領域の生産性の高いドリル穴あけ機、超精密レーザー加工機の分野にて高い技術力を持つ。

「アマダのレーザー溶接事業に直結する事業だ。これを機として、将来的に持続的な成長が見込める、半導体市場にアマダは本格参入する。半導体分野では、パッケージ基板やプリント基板の製造において、微細加工技術へのニーズが飛躍的に高まっており。それに対応するソリューションの提供が、今後の成長に不可欠となっている」(山梨氏)

 これら新領域への進出にAGICも活用している。AGICは「お客さまとともに金属加工の未来を共創する空間」をコンセプトに、同地にあった前施設を改修して2023年に開設された。

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