大成建設は、ベッコフオートメーションのユーザーイベント「Beckhoff Technology Days 2018」で「力触覚伝達型遠隔操作システム」のデモを披露。会場の横浜から石川県の産業用ロボットを遠隔操作できることを示した。
大成建設は、ベッコフオートメーションのユーザーイベント「Beckhoff Technology Days 2018」(2018年9月11日)において「力触覚伝達型遠隔操作システム」のデモを披露した。
力触覚伝達型遠隔操作システムは、遠隔地にある産業用ロボットの操作について、力触覚を伝達することでより正確で無駄なく行えるようにするシステムだ。遠隔操作のマスターシステムはデンソーウェーブの協働ロボット「COBOTTA」、スレーブシステムは同社の医薬・医療用ロボットで構成。制御システムはマスター、スレーブともベッコフオートメーションの産業用PC「C6015」を用いており、ネットワーク接続はEtherCATとなっている。
力触覚の伝達については、スレーブ側に組み込んだ力触覚センサーのデータを処理し、マスター側のCOBOTTAに装着したexiii(イクシー)の触覚ウェアラブルデバイス「EXOS」で再現している。スレーブ側には、一般的なカメラだけでなく3Dカメラも設置してあるので、VR(仮想現実)システムを用いての遠隔操作も可能である。
遠隔地にあるマスターとスレーブの間の接続は携帯電話通信網を用いる。大成建設とソフトバンクは2018年9月5日、5Gによる連携を実験室内で確認しているが、今回のデモではマスター側でLTEを、スレーブ側で固定回線を用いた。
デモでは、横浜のイベント会場内にあるマスターシステムを用いて、力触覚伝達型遠隔操作システムのインテグレーションを担当した松浦電弘社の本社(石川県野々市)内に設置したスレーブシステムを操作することができた。ただし、産業用PC内でのデータ処理とLTEの通信によりコンマ数秒の遅延が発生していた。「さらに高スペックの産業用PCを用い、5Gのような遅延の少ない通信を用いれば、よりリアルタイムに近い遠隔操作が可能になるだろう」(松浦電弘社の説明員)という。
なお、力触覚伝達型遠隔操作システムの用途としては、単なる遠隔操作だけでなく、遠隔からのロボットへのティーチングや、それをAIで学習することによるロボットの知能化なども想定されている。
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