ルネサス エレクトロニクスは、同社のIPを活用してデバイスの開発を容易にする「IPユーティリティ」を提供する。同社IPを先行評価できるキットやアプリケーションパッケージなどが含まれており、半導体デバイスの開発期間短縮に貢献する。
ルネサス エレクトロニクスは2020年12月10日、同社の半導体設計情報であるIP(Intellectual Property)を活用することで、デバイスの開発を容易にするソリューション「IPユーティリティ」の提供を開始した。
IPユーティリティは、ユーザーが効率的に独自の半導体製品を開発するためのソリューション群となる。アプリケーションパッケージやアーリーアダプターキット、IPコアのコンフィグレーション容易化ツール、TCAM(Ternary Content Addressable Memory)フロントエンドライブラリ、ノイズ設計コンサルティングが含まれる。
アプリケーションパッケージは、マイクロコントローラーの開発を対象としており、第1弾として、多軸モーター制御用マイコンの開発向けに「12軸モーター制御パッケージ」の提供を開始した。12軸のステッピングモーター制御が可能なCPUと周辺IP、モータ制御用IPを標準搭載し、軸数の変更やCPUの入れ替えなど、開発者の希望に合わせてカスタマイズできる。
アーリーアダプターキットは、同社が2021年にリリースする電力効率の高いAI(人工知能)アクセラレーターIP「Processing-in-Memory(PIM)」を先行して評価できる。その他、ソフトウェア開発のサポートも提供する。
IPコアのコンフィギュレーション容易化ツールは、転送スピードやレーン数、バスビット幅など、50万通り以上のバリエーションから、最適なパフォーマンスが得られる構成を容易にシミュレーションする「PCI Expressコントローラーコア向けツール」を用意している。
TCAMフロントエンドライブラリは、製品仕様の検討用途として提供される。ユーザーは、従来のネットワークパケット処理に加え、7nmプロセスなどの先端技術にも適応するTCAMマクロを用いて、新しいソリューションを検討できる。
さらに、これまでデバイス向けに提供されていたノイズ設計コンサルティングも提供する。端子や部品の配置、ボード設計においてノイズ設計を検討できるため、製造後のノイズ対策やイタレーションの軽減につながる。
独自に半導体デバイスを開発する際は、CPUや周辺機能、アプリケーション特有の機能といったさまざまなIPを組み合わせて検証するため、多大な工数や時間が必要になる。同ソリューションにより、独自半導体デバイスの開発期間や市場投入までの時間を短縮できる。
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