ルネサス エレクトロニクスがArmの「Cortex-Mシリーズ」を搭載する32ビットマイコンの新製品「RAファミリ」を発表。同社の汎用32ビットマイコンの主力製品は独自のCISCプロセッサコア「RX」を搭載する「RXファミリ」だったが、今回のRAファミリの投入により本格的にArmマイコン市場に参入することになる。
ルネサス エレクトロニクスは2019年10月8日、Armの「Cortex-Mシリーズ」を搭載する32ビットマイコンの新製品「RA(Renesas Advanced)ファミリ」を発表した。同社はこれまで独自のCISCプロセッサコア「RX」を搭載する「RXファミリ」を主力の汎用32ビットマイコンとして展開しており、リアルタイムOSをはじめとするソフトウェアをパッケージしたマイコンプラットフォーム「Renesas Synergy」にのみCortex-Mシリーズを採用していた。今回のRAファミリの投入により、本格的にArmマイコン市場に参入することになる。
同社は32ビットマイコン市場のユーザーニーズについて、「Armコアであることを重視」と「少しでも高い性能が必要」を横軸に、「ベンダー提供のプラットフォームを希望」と「ユーザー独自のプラットフォームの開発を希望」を縦軸にしたポジションニングを行っている。この中で、「少しでも高い性能が必要」の領域では、5.82CoreMark/MHzという業界最高水準の処理性能を持つRXファミリでカバー。そして、「Armコアであることを重視」と「ベンダー提供のプラットフォームを希望」の領域についてはRenesas Synergyで対応してきた。
今回発表したRAファミリは、「Armコアであることを重視」と「ユーザー独自のプラットフォームの開発を希望」の領域に対応する製品となる。同じCortex-Mシリーズを搭載するRenesas Synergyと比べると、ユーザー側で行えるソフトウェア開発の柔軟性が高い点が大きく異なる。また、RXファミリと比べた場合には、広く利用されているArmのエコシステムを活用できる点で異なる。
RAファミリは、Cortex-Mシリーズのうち、「Cortex-M23」「Cortex-M33」「Cortex-M4」を採用。最大動作周波数60MHzの「RA2シリーズ」、同100MHzの「RA4シリーズ」、同200MHzの「RA6シリーズ」、デュアルコアプロセッサ構成の「RA8シリーズ」をラインアップする。セキュリティやコネクティビティをはじめとしたルネサスの組み込み機器向けの豊富な周辺機能IPと、さまざまなユースケースに活用できる「FSP(Flexible Software Package)」を提供するとともに、32ビットマイコンで高い実績を持つルネサスとArmのエコシステムも利用できる。車載機器を除く、産業用機器、ビルオートメーション、メーター、ヘルスケア、家電などに向けた次世代のIoT(モノのインターネット)エッジデバイスの短期開発が可能になるという。
今回の発表と併せて、Cortex-M23を搭載する「RA2A1グループ」、Cortex-M4を搭載する「RA4M1グループ」「RA6M1グループ」「RA6M2グループ」「RA6M3グループ」の 5グループ/32品種を発売する。新製品の端子数は32〜176本、フラッシュメモリ容量は256K〜2MB、SRAM容量は32K〜640KBで、USB、CANおよびイーサネットのインタフェースを搭載している。1万個一括購入時の参考価格は2.5〜7米ドル(税別)。
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