RAファミリの特徴としては、Armとの緊密な連携によるセキュリティ機能と、ユーザー側によるソフトウェア開発の柔軟性を担うFSPの2つになる。
RAファミリは、Armのセキュリティフレームワークである「PSA Certified」のレベル1の認定を受けており、PSA仕様に準拠したレファレンス実装ファームウェアである「Trusted Firmware-M(TF-M) API」に対応している。このため、ネットワークにつなげることになるIoTのためのセキュアな機器開発を、安全かつ迅速に開発できるという。また、セキュリティアーキテクチャである「TrustZone for Arm v8-M」に加え「SCE(Secure Crypto Engine)」を搭載。このSCEを用いることで、共通鍵暗号および公開鍵暗号、ハッシュ関数、真性乱数生成(TRNG)、そして鍵の生成やマイコン固有鍵のラッピングなど、高度な鍵のハンドリングが可能になる。正しいアクセスプロトコルに従わない場合には、アクセス管理回路がSCEをシャットダウンし、内部の専用RAMを持つことによってプレーンテキストの鍵が他のCPUや周辺バスへ漏えいすることを防ぐ。
FSPは、さまざまなユースケースを想定し、フレキシブルかつエコシステムとの併用を可能にするオープンアーキテクチャを採用している。RAファミリのユーザーは、過去のソフトウェア資産を再利用しつつ、それらをルネサスやパートナー企業のソフトウェアと組み合わせて、コネクティビティやセキュリティなどの複雑な機能を短期間で実装できる。また、FSPのリアルタイムOSとしてアマゾン(Amazon.com)の「Amazon FreeRTOS」を採用している。
RAファミリは2020年以降、Armのエコシステムの活用を拡大できるラインアップの拡充を進めていく。Cortex-M23を搭載したより低消費電力を追求した製品に加え、初期の5グループのラインアップにはないCortex-M33搭載品や、Bluetooth Low Energy(BLE)、IEEE 802.15.4といったワイヤレスアプリケーション向け製品などを提供する予定だ。FSPについても、Cortex-M23やCortex-M33の搭載品向けに、リアルタイムOS「ThreadX」とそのミドルウェアのサポートを2020年前半までに追加する予定である。
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