産業技術総合研究所と島津製作所は、10nm〜40μmの広いサイズ範囲の粒子を分級できる遠心流動場分離装置を構築した。独自のローター回転機構および一体成型分離流路を採用し、1万5000Gを超える遠心加速度を持つ。
産業技術総合研究所(産総研)は2020年8月24日、島津製作所と共同で、10nm〜40μmの広いサイズ範囲の粒子を分級できる、遠心流動場分離装置を構築したと発表した。1万5000Gを超える遠心加速度を持つ装置で、精密材料設計や高精度材料のサイズ分布分析への貢献が期待される。
本装置に、密閉性と高速回転を両立させた独自のローター回転機構を導入。これにより遠心加速度1万5900 Gの高遠心場を達成した。分離チャネルの精密設計によって、分級の高分解能化と分級時間を半減できたため、短時間で高精度にサイズ分級を行える。
精密流路には、一体成型分離流路を採用。耐圧性能を確保し、軸シールの耐摩耗性能を向上させた結果、1万5900Gの高遠心加速度発生時でも液漏れを起こさずに材料のサイズ分級ができる。
高遠心力が得られるため、本装置では従来のヨーロッパ製遠心流動場分離装置では不可能だった高い分離分解能ができ、10nm〜40μmという小さなサイズの材料粒子も分離できるようになった。
また、本装置の分離チャネルの構造を流体力学的に精密設計したところ、それぞれのピークの重なり状況を変化させずに、改良前の装置と比較して銀ナノ粒子の分級時間を半分に削減できた。
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