エッジコンピューティングの逆襲 特集
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» 2020年09月03日 11時00分 公開

ArmマイコンのRTOSとして充実する「Mbed OS」に一抹の不安リアルタイムOS列伝(5)(3/3 ページ)

[大原雄介,MONOist]
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多数のライブラリを利用可能でハードウェアも充実、しかし……

 さてRTOSのコア部はそんな訳で大した機能は提供されていないのだが、Mbed OS自体は先の図1でも分かるように猛烈な量のライブラリを利用可能で、当然APIも充実している。実際に、Mbed OS 6.2のFull API Listを簡単にまとめてみると、以下のような項目が並んでいる。

  • RTOS:ConditionVariable/EventFlags/Idle loop/Kernel interface functions/Mail/Mutex/Queue/Semaphore/ThisThread/Thread
  • Event handling:EventQueue/UserAllocatedEvent
  • Driver:Serial(UART)/SPI/Input&Output/USB/Others(CAN/Flash IAP/I2C/I2C Slave/MbedCRC/ResetReason/Watchdog)
  • Platform:Time/Power/Memory/Others
  • Data storage:File system/BlockDevice/PSA compliant
  • Connectivity:Network socket/Network interface/Secure socket/BLE/NFC/LoRaWAN
  • Security:DeviceKey/Crypto/PSA initial attestation/PSA lifecycle/TLS

 対応ハードウェアも充実している。最新の一覧はこちらのWebサイトで確認できるが(図4)、原稿執筆時点で言えば対応モジュールが9種類対応コンポーネンツが551種類対応ボードが164種類となっている。当然のことながらArmのCortex-Mベースの製品に限られるが。

図4 図4 Mbed OSの対応ハードウェアをまとめたWebサイト(クリックでWebサイトへ)

 機能は充実しているし、ドキュメント類も結構そろっている(Mbed OS 6に関して言えば、まだ“Page not found”がしばしば出現するが、Mbed OS 5はそれも少ない)。もちろん無料で利用できる。しかもIoTプラットフォームとの連携については、ArmのISGが手掛ける「Pelion」だけでなく、最近は公式サンプルとしてAWSへの接続例が示されたりするなど、幅広い用途で利用可能となっている。

 懸念事項は冒頭に書いた、ISGの行く末がまだ明確でないというあたりだろうか。これはArm本体の売却とも絡む話であるが、現状のMbed OSはいわばコストセンターであって、Mbed OSそのもので利益は生み出さない。もちろん、エコシステム全体を考えれば、ここで多少コストがかかってもトータルで利益が生み出されるわけだが、今後どこかの会社に売却されたりすると、この方針そのものがいきなり変更になりかねない。そういう意味でも、Arm自身の将来がもう少し安定しないと、ちょっと手を出すのが難しいといったところだろう。

 あと、Arm以外のプラットフォームをサポートしないというのも、一応ネガティブ要素ではある。ただCMSIS-RTOSをベースにしている時点で、他のアーキテクチャへの移植は難しそうではあるのだが。

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