2014年に開発中であることがアナウンスされたArmの「mbed OS」。その後、紆余曲折を経て、mbed OSの立ち位置と取り巻く環境が変わり、mbed OSそのものも大きく変わった。そこで、アップデートとして現状の「mbed OS」と、「mbed Cloud」などそれをとりまく環境を紹介する。
本連載第13回でArmの「mbed OS」をご紹介したが、そこから2年が経過し、mbed OSの立ち位置と取り巻く環境が変わり、mbed OSそのものも大きく変わった。ということで、アップデートとして現状の「mbed OS」とそれをとりまく環境をご紹介したいと思う※)。
※)編注:Armは2017年8月から企業名や製品名の表記を変更した。例えば、従来は「ARM」「mbed」だったが、現在は「Arm」「Mbed」になっている。本記事では、企業名の表記は「Arm」、製品名は2017年8月以前についても言及するため「mbed」に統一している
最初にmbed OSが(本連載とは別に)2014年に紹介された時点では、基本はSensinode Oyの保有していた「NanoStack」「NanoService」という超軽量のネットワークスタックとサービスレイヤー、これらと「Nano Router」と呼ばれるルーティング機能にセキュリティを付加した程度のものだった。当初の予定では、このmbed OSをベースにしてmbed OS 3.0を完成させ、以後発展させていくはずだった(図1)が、実際にはそこから紆余曲折があった。
オリジナルのmbed OS系列(mbed OS Classic)とは別にmbed OS 3の開発が始まり、これらが統合される形でmbed OS 5が2016年8月にリリースされた。当初の予定からすると約1年遅れではあるが、1年未満でスクラッチから構築できたのだから、ずいぶん高速化されたともいえる。
そもそも何で新しくmbed OS 3系列の開発が行われたか、という話は図2に半ば答えが示されている。端的にいえば、mbed TLSに代表されるセキュリティ機能をmbed OS Classicに統合するのが難しかった、という点に尽きる。そこでmbed OS Classicでは開発環境とかライブラリの整備を充実させ、他方mbed OS 3ではネットワークやセキュリティの充実を図り、これを組み合わせたのがmbed OS 5ということになる。
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