「Arm TechCon 2018」で発表された「Mbed」関連の最大のネタといえば、Armが提供する組み込みLinux「Mbed Linux OS」だろう。
2018年10月に米国で開催されたArmの年次イベント「Arm TechCon 2018(以下、TechCon)」において、「Mbed」の話題はそう多くなかった。理由は簡単で、Mbed関連のほとんどが、TechConと並行して開催されたイベント「Arm Mbed Connect 2018 USA(以下、Mbed Connect)」に移されてしまったからだ。
Mbed Connectというのは2016年からの名称で、それ以前は「IoT developer day」という名称で開催されていたのだが、これが名称を変えるとともに、Mbed関連のセッションも包括することになった。ちなみに筆者は、Mbed Connectの方はそもそも参加できていない(何しろTechConと並行開催であり、TechConの取材をしているとMbed Connectには行けない)。このため詳細は不明だが、セッションは以下のようなラインアップだったようだ。
なかなか興味ある項目が並んでいる。また3.〜9.と並行してハンズオンワークショップも開催されており、こちらは以下のようなラインアップだった。
正直、TechConの取材が無ければ(f)あたりに参加したかったところだ。
このMbed Connect、2018年12月に日本で開催された「Arm Tech Symposia 2018 Japan」でも併せて開催されている。セッションの様子はこちらに簡単なレポートがあるが、基調講演とテクニカルセッションの他、4コースほどのハンズオンワークショップが併設されている。既にMbedは、新しいテクノロジーというよりは、普及に向けて開発者に多く利用される段階になってきた、としても良いと思う。
ちなみに、日本のMbed Connectの方はまだセッション資料がダウンロード可能なので、興味ある方は早めに入手しておくことをお薦めしたい。
さて、それではTechConではMbed関連の話題が何もなかったのか? というとそういうわけでもない。最大のネタは「Mbed Linux OS」だろうか。
Mbed Linux OSそのものの正式発表はTechConが終わった2019年10月20日だが、TechCon自体でも“Introducing the Arm Mbed Linux OS”というセッションがあったので、こちらの資料を基にご紹介したいと思う。
Mbed Linux OSとは何か? という結論を先に言ってしまえば「PSA Certifiedのアプリケーション環境をLinuxベースで構築するためのもの」である。
ただしこれは「PSA Certified」が発表された今だから分かることであって、TechConの最中は「Mbed Client」と何が違うのかがはっきりとは分からなかった。このあたりをきちんと説明すると、今度はPSA Certifiedに言及せざるを得ず、それもあってか説明の方も肝心な部分をボカしたままということでいまひとつ要領を得ない内容だったのは仕方なかったかもしれない。
余談だが、先述したMbed Connectのハンズオンの(f)で示されたNuvoton Technologyの「M2351」は、現時点で事実上唯一「PSA Certified Level 1」と「PSA Functional API」を取得した製品(2018年10月の時点では、単にArm PSAと、NuSMP(Nuvoton Secure Microcontroller Platform)準拠というだけだった)であり、ひょっとするとPSA Functional APIを体験する機会もあったのかもしれない。
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