さて、説明に戻ろう。Mbed Linux OSを簡単に言うと、「Cortex-A」向けの組み込みOS「Mbed OS」になる(図1)。Mbed OSの特徴を、LinuxベースとしながらそのままCortex-Aに持ち込んだのがMbed Linux OSということだ(図2)。
そのMbed Linux OSのメリットは? というのがこちら(図3)。組み込み機器向けのLinuxである「Yocto Linux」をベースとしており、すぐに取り掛かりやすいのが主な特徴とされる。ArmのIoT(モノのインターネット)プラットフォーム「Arm Pelion IoT Platform(以下、Pelion)」との融合もポイントであり、ArmからすればPelionの普及の促進もこれで見込める。
ではMbed OSとの違いは? というのがこちらで(図4)、なんとなく順序が間違っている気はするが、ハードウェアの違いを無視してあえて比較すればこういうことになる。
ここで、なぜMbed Linux OSが必要かという根本の話に戻ると、セキュリティの確保が目的になっている(図5)。このためにMbed Linux OSが利用するのは「Trusted Firmware」である(図6)。Trusted Firmwareがブートローダーの「U-Boot」を起動し、その後U-BootがMbed Linux OSを起動。そしてMbed Linux OSが「Trusted Application」を起動するという形で、アプリケーションやOSが不正でないことを担保する。
また、信頼できる実行環境(Trusted Execution Environment)の提供も必要である(図7)。またTrusted Firmwareには署名を必要とさせる(図8)とか、プログラム自身も分離を可能にする(図9)ことが求められる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.