ソラコムはDiscovery 2020 ONLINEの開催に合わせて新サービスも発表している。その中でも注目すべきなのが、グローバルで利用できるSIM「SORACOM IoT SIM」で国や地域ごとに最適なデータ通信を利用できるようになる「サブスクリプションコンテナ」だろう。
現在、SORACOM IoT SIMは140以上の国と地域で利用できるが、顧客から利用する国によって接続する現地の通信回線契約を後から柔軟に変更したいという要望が出ている。例えば、利用する国に合わせたリーズナブルな通信契約やあるエリアの接続に特化した通信契約に切り替えたい場合、新しい通信規格を利用したい場合などだ。それらの場合、SIMの物理的な交換が必要だった。
この課題を解決するのがサブスクリプションコンテナだ。1枚のカード型SIMもしくはチップ型SIMに複数の通信契約(サブスクリプション:回線契約情報)を追加し、エリアに応じて最適な料金の通信契約を利用することができる。
SORACOM IoT SIMは、SIMを制御する「SIM OS」の上に、複数のサブスクリプションを管理するためのサブスクリプションコンテナエンジンがあらかじめ搭載されている。このため、SORACOM IoT SIMの初期からのユーザーであっても、サブスクリプションコンテナの機能を利用して、SORACOMのユーザーコンソールまたはAPIで操作すればOTA(Over The Air)によってSIM内にサブスクリプションを追加できるようになる。
これまで、SORACOM IoT SIMで利用可能なプランとして「plan01s」があったが、サブスクリプションコンテナと同時に、日本での通信料金がplan01s比で約90%安くなる「planX1」や、東南アジアなど20カ国での通信料金が同約70%安くなる「planP1」も発表されている。サブスクリプションコンテナを使えば、これらのような国や地域ごとに最適な通信契約への変更を、SIMを物理的に交換することなく、かつ自動で行える。
サブスクリプションコンテナの料金は、サブスクリプションを1つ追加するための初期費用が3米ドル、利用料金が1カ月当たり1.8米ドル。なお、サブスクリプションを追加し通信契約を変更してもソラコムの各種サービスは透過的に利用できる。
この他、SORACOMプラットフォームの新サービスとして「SORACOM Orbit」と「SORACOM Peek」を発表した。SORACOM Orbitでは、IoTデバイスとクラウド間の通信経路上でデータ処理プログラムを実行できる。例えば、IoTデバイスから送られてくるバイナリデータをクラウド上で処理するのに最適なJSONに変換したりできる。なお、データ処理プログラムの開発環境としては、 AssemblyScript、Rust、C/C++(Emscripten)向けから提供する予定だ。
SORACOM Peekは、IoTデバイスとの通信についてオンデマンドでパケットキャプチャーを行うサービスになる。これにより、「想定以上のデータ量を送受信している」「デバイスの通信の内容を知り最適化したい」「デバイスがウイルスなどに感染して外部と不正な通信をしていないか確認したい」「開発中のデバイスをデバッグしたい」といった、データ通信の内容を把握したいというニーズに対応できる。なお、SORACOM Peekを利用するには、ユーザー専用のゲートウェイであるVPG(Virtual Private Gateway)の利用が必要になる。
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