ソラコムのIoT回線サービスが200万契約突破、eSIMに加えLPWAの採用も拡大製造業IoT

ソラコムは、IoT向けデータ通信サービス「SORACOM Air」の回線契約数が200万を超えたと発表した。2015年9月末にNTTドコモのMVNOとしてSORACOM Airのサービスを開始してから約4年半での達成となる。

» 2020年06月30日 06時30分 公開
[朴尚洙MONOist]

 ソラコムは2020年6月25日、IoT(モノのインターネット)向けデータ通信サービス「SORACOM Air」の回線契約数が200万を超えたと発表した。2015年9月末にNTTドコモのMVNO(仮想移動体通信事業者)としてSORACOM Airのサービスを開始してから約4年半での達成となる。

「SORACOM Air」の回線契約数 「SORACOM Air」の回線契約数。サービス開始から約4年半で200万を超えた(クリックで拡大) 出典:ソラコム

 同社は2019年6月に携帯電話回線を用いる「SORACOM Air for セルラー」の回線契約数が100万を超えたことを発表している。今回の200万回線の突破については、SORACOM Air for セルラーに加えて、LPWA(低消費電力広域)ネットワークのSigfoxやLoRaWANを用いる「SORACOM Air for Sigfox」、「SORACOM Air for LoRaWAN」などを含む。

 SORACOM Airを採用する業種は広がりを見せている。例えば、製造業やガス・電気のような社会インフラ業において、デジタル化による現場業務の自動化やリモート管理、得られたデータの分析に基づく予兆検知やオペレーションの最適化などに活用されている。また、AI(人工知能)通訳機やIoT電球などのコンシューマーデバイスにも採用されており、時間単位での利用を提供するシェアリングサービスや、在庫切れを検知して自動発注するサービスといった新しいビジネスモデルにも利用されているという。

 SORACOM Air for セルラーは1枚のSIMで世界145の国と地域で利用できることから、グローバルに製品やサービスを展開する企業の採用事例が増えている。200万回線のうち、北米と南米を併せた米州、欧州、日本を含むアジアの各エリアで、それぞれ数十万回線以上が利用されているとしている。

 回線契約数100万突破の原動力になったのが、2017年10月から提供を始めた、機器に組み込めるチップ型SIM(eSIM)である。200万回線を突破した今回でもeSIMの出荷は順調に伸びており、全契約回線におけるeSIMの割合は57%と半数以上を占めている。

「SORACOM Air」ユーザーのeSIMとカード型SIMの割合 「SORACOM Air」ユーザーのeSIMとカード型SIMの割合 出典:ソラコム

 LPWAネットワークの採用拡大も大きなトピックの1つだ。今回発表時点での全契約数の14%が、セルラーLPWAであるLTE-MやSigfox、LoRaWANといったLPWAネットワークを利用している。

「SORACOM Air」ユーザーのLPWAネットワークと一般セルラー回線の比率 「SORACOM Air」ユーザーのLPWAネットワークと一般セルラー回線の比率 出典:ソラコム

 これらの他、IoTにおける大容量データの活用が広がりつつある傾向も見えてきている。IoTシステムの利用例としては、センサーデータや機器のステータス取得が一般的なため、データ通信量は数B〜数KB程度と比較的少ない傾向がある。しかし、2019年6月の100万回線突破時と比べると、今回は1GB以上の通信を行うSIMの数が3倍になっている。これは、ドライブレコーダーのデータをクラウドに保管したり、工場内の機器からのログデータをクラウドで蓄積し、機械学習で不具合を検知したりという、IoTエッジデバイスとクラウドが密に連携するユースケースの増加が背景にある。

 今後は、大容量と低遅延が特徴の5Gの登場により、IoTエッジデバイスとクラウドの連携がさらに密になり、幅広いユースケースに応用されるとしている。

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