特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜

LPWA接続のダッシュボタンがソラコムから、「AWS IoT 1-Click」に国内初対応製造業IoT

ソラコムは、セルラーLPWAネットワークの1つであるLTE-M(LTE Cat.M1)通信機能を内蔵するボタン型デバイス「SORACOM LTE-M Button powered by AWS」を開発した。「AWS IoT 1-Click」に国内で初めて対応し、2018年度下期中に初回特別キャンペーン価格3980円で発売する予定である。

» 2018年07月04日 12時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 ソラコムは2018年7月4日、セルラーLPWA(低消費電力広域無線通信)ネットワークの1つであるLTE-M(LTE Cat.M1)通信機能を内蔵するボタン型デバイス「SORACOM LTE-M Button powered by AWS(以下、SORACOM LTE-M Button)」を開発したと発表した。AWS(アマゾン ウェブ サービス)のクラウドに基づくIoT(モノのインターネット)システムを容易に構築できるサービス「AWS IoT 1-Click」に国内で初めて対応。2018年度下期中に、初回特別キャンペーン価格3980円で発売する予定である(1年間の基本料金と1500回分のボタンクリックに必要な通信費用込み)。その後の通常価格は約8000円となる見込み。

「SORACOM LTE-M Button powered by AWS」の概要 「SORACOM LTE-M Button powered by AWS」の概要(クリックで拡大) 出典:ソラコム

 ソラコムは2018年9月から、データ通信サービス「SORACOM Air for セルラー」において、KDDIのLTE-M回線を利用できる「plan-KM1」を提供する予定。LTE-Mは、通常のLTEと比べて、省電力かつエリアカバレッジが広域で、通信モジュールも安価になるとされている。ハンドオーバー機能も有しているので、移動体の通信にも対応可能だ※)。plan-KM1の1回線当たりの料金は、契約事務手数料が1500円、基本料金が1カ月当たり100円、データ通信料が1KB当たり0.5円となっている。

※)関連記事:「NB-IoT」を補完する「LTE Cat.M1」はカーシェアに最適?

 SORACOM LTE-M Buttonには、このplan-KM1の通信機能が内蔵されている。AWS IoT 1-Clickの専用デバイスとしてAWSが提供している「AWS IoT エンタープライズボタン」の通信機能はWi-Fiのみであり、Wi-Fiルーターとつなげるための設定が必要だった。SORACOM LTE-M Buttonは、Wi-Fiルーターとつなげる設定が不要なため、LTE-Mの通信可能な場所であればすぐに利用できることが最大の特徴になる。

どこでもつながる「SORACOM LTE-M Button」 コンシューマー向けの「Amazon Dash Button」からプログラム可能なB2B向けの「AWS IoT エンタープライズボタン」に展開。「SORACOM LTE-M Button」はLTE-M接続が可能だ(クリックで拡大) 出典:ソラコム

 SORACOM LTE-M Buttonは、国内初のAWS IoT 1-Clickのサポート対象デバイスとなる。既に米国でAT&TがLTE-M通信に対応する製品を発売しているが、SORACOM LTE-M Buttonはこれに次いでグローバルで2番目の製品となる。また、AWS IoT エンタープライズボタンやAT&Tの製品が電池交換ができず使い切りであるのに対して、SORACOM LTE-M Buttonは単四形電池2本で動作する(ボタンクリック約500回分の動作が可能)。このため電池を交換すれば、デバイスの継続利用が可能だ。ハードウェアの設計開発は京セラが担当している。

 なお、AWS IoT 1-Clickは、AWSの機能の1つ「AWS Lambda」と連携可能であり、事前に定義したLambda関数を利用して、電子メールやSMSの送信の他、JavaScript、Java、Python、C#などの言語で記述した独自のビジネスロジックを実行できる。この機能とSORACOM LTE-M Buttonの組み合わせにより、Wi-Fiの通信ネットワークがない場所でも、テクニカルサポート、パーソナルヘルスケア、車両管理、エネルギー/ユーティリティー、スマートシティーなどに関わる、ボタン型デバイスを用いたIoTサービスを容易に構築できるという。

「AWS IoT 1-Click」の仕組み 「AWS IoT 1-Click」の仕組み。などデバイスについてはボタン型デバイスである必要はないとのこと(クリックで拡大) 出典:AWS

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