今回は、前回取り上げたNB-IoTこと「LTE Cat.NB1」と同じタイミングで制定された「LTE Cat.M1」を紹介する。NB-IoTとの組み合わせにより、全てのM2Mのニーズを満たすことができる。有力な用途とみられるのはレンタカーやカーシェアの運行管理だ。
前回の連載第29回で取り上げたNB-IoT(Narrow Band-IoT)こと「LTE Cat.NB1」と同じタイミングで制定されたのが「LTE Cat.M1」である。仕様策定中はeMTC(enhanced Machine-Type Communications)などと呼ばれていたものだ。
Cat.M1の仕様は、事実上消えてしまったCat.0に非常に近いものがある。eMTCという名前の通り、M2M(Machine to Machine)の通信に向けた規格である。なぜCat.NB1では足りないかというと、Cat.NB1のような通信方式では全てのM2Mのニーズを満たせないという基本認識がそもそもあるためだ。
図1は、Machina Researchの2015年5月データを基にした想定データだが、通信方式の主流は今後も“Fixed & short range”にあるとしている。Cat.M1はこの図の中で、水色の“LPWA”の部分に入るもので、全体としての比率はごくわずかでしかない。
図2は同じデータを基にした用途の比率だが、この中でCat.M1が利用できるのはConnected citiesとConnected health、それとConnected living and workingの一部でしかない。比率の半分を占めるConnected carの場合、取りあえず移動中に接続できないのは致命的だし、Connected industryの場合Cat.M1ではデータ転送量やデータ転送頻度が致命的に不足する。
図1にしても図2にしても、縦軸はConnection数(とその比率)であって、つまり多くのアプリケーションでは、Cat.NB1よりももっと高速で、移動時のハンドオーバーが可能な接続が必要、と判断されている。もともとはCat.0をこの用途向けに適用する予定だったが、主要キャリアが相次いでこれを断念したのはコストが下がらないから、という問題であった。つまり、コストを下げつつ、(Cat.NB1に比べて)広帯域で、かつハンドオーバーの機能が提供できる接続規格が必要、というのが3GGPにおける検討作業の結論である。
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