ここまでケース1の解析をテーマに、
について解説してきましたが、解析初心者の設計者の方々には少し難しかったかもしれません。特にメッシュサイズについては、解析対象に適したメッシュ(要素)サイズというものがあるわけですが、これについてはさらなる理解と経験が必要だといえます。それほどプリ処理部のメッシュ作成の世界は奥が深いのです。
ミッドレンジのCAEツールでは、四面体のメッシュが使用されます。ハイエンドのCAEツールでは四面体の他に、六面体のメッシュなども使用されます。有限要素法(FEM)では、前述のように、解析対象を要素に分割します。その際、メッシュの品質の1つが「アスペクト比」と呼ばれるものです。今回のソリッドメッシュについても、SOLIDWORKS Simulationでは、次のようにメッシュ詳細情報やメッシュ特性プロットを作成できます(図12、図13)。
理想的なアスペクト比については図14に示した通りですが、メッシュサイズとアスペクト比の関係は、解析対象となるモデル形状にも依存するものなので、「このメッシュサイズならアスペクト比は問題ない」と定義できません。また、直接的にアスペクト比を設定、制御することもできません。そのため、CAEの設定では、メッシュサイズをコントロールすることによってのみ、アスペクト比を結果的に制御するしかありせん。このことから「理論的には“メッシュサイズを細かくしていくと、アスペクト比が改善される”という関係が成り立つ」というしかないと、筆者は考えます。
優れた解析技術者の皆さんは、メッシュを見ただけで「良いメッシュ/悪いメッシュ」を判断できるそうです。筆者はまだその域に達していないまでも、「正三角形に近いメッシュはバランス的に良さそうだな」とおおよその判断はできていると思っています。皆さんはいかがでしょうか。さて、次回は「熱伝導」について解説します。お楽しみに! (次回に続く)
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