さらに、Jetson Nano連載の第4回記事と同様に、まめっち先生(編注:筆者の大原氏の愛猫)をモデルとして「Live Camera Recognition Demo」も実施してみた。USBカメラは、Jetson Xavier NXでもJetson Nanoと同じく/dev/video0で認識されるので、同じようにデフォルトの解像度(1280×720ピクセル)で実施してみた結果がこちらだ(動画1)。
やや暗いのと、対象物が激しく動くので認識はかなりでたらめだが、認識のフレームレートは120fps弱とかなり良好である。もう少し明るいところで、ご飯を食べる茶白(編注:こちらも同じく筆者の大原氏の愛猫)の後ろ姿(動画2)を撮影すると、認識はやはりでたらめだが(猿だのハムスターだのコーギーウェルシュだのと誤認識される)、フレームレートは150fpsほどに達しており、カメラをフルHDにしても十分なほどの認識処理の速度が出ていることが分かる。
今回は、Tensorコアの利用はちょっと見送り、あくまでCPU+CUDAコアの範囲で簡単に性能比較をさせていただいたが、ごらんの通り大幅に高速化されている。
重要なのは、ここまでの記事内容で利用したプログラムについて、Jetson Nanoの連載記事で使用したものから一切変更していないことだ。もちろん、カーネルその他は入れ替えだから再コンパイルは必要である。しかし、アプリケーションそのものはJetson Nanoで利用したものそのままで大幅に高速化できているというわけだ。
もちろんTensorコアを利用すればさらに高い性能を期待できそうだが、取りあえず既存のJetson Nanoのアプリケーションがそのまま高速に動くというだけでもJetson Xavier NXのメリットは大きい。
逆にTensorコアの利用には、フレームワークの置き換えも必要になりそうだ。筆者の知る範囲ではdarknetが既にTensorコアの利用に対応している。このあたりを使ってアプリケーションを作り直せば、さらに高い性能が得られそうである。
そんなわけで、Jetson Nanoを利用してエンドポイントAIやエッジAIにチャレンジしている方は、Jetson Xavier NXへのアップグレードを検討してみてはいかがだろうか。
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