「Jetson Xavier NX」で組み込みAIを試すJetson Nanoで組み込みAIを試す(特別編)(1/4 ページ)

2020年5月14日に行われたNVIDIAの「GTC 2020」の基調講演で発売がアナウンスされた、組み込みAIボード「Jetsonシリーズ」の最新製品となる「Jetson Xavier NX」。「Jetson Nano」の連載を担当した技術ライターの大原雄介氏に、Jetson Xavier NXの開発者キットをレビューしてもらった。

» 2020年06月02日 11時00分 公開
[大原雄介MONOist]

 2019年5〜10月に「Jetson Nanoで組み込みAIを試す」という連載をさせていただいた。NVIDIAの組み込みAI(人工知能)ボード「Jetson Nano」の開発キットを使って、電源を入れて立ち上げるところから、物体(にゃんこを含む)認識したりするところまでをレビューする内容だ。

⇒連載「Jetson Nanoで組み込みAIを試す」バックナンバー

 2020年5月14日に行われたNVIDIAの「GTC 2020」の基調講演では、このJetson Nanoと同じ「Jetsonシリーズ」の最新製品となる「Jetson Xavier NX」の開発者キットのリリースがアナウンスされている。129米ドルのJetson Nanoに対して399米ドルと高価だが、大幅に性能が向上しており、より高度なAI処理が可能になっている。

 この開発者キットの評価機が手に入ったので、今回は「Jetson Nanoで組み込みAIを試す」の特別編として、簡単にではあるがJetson Xavier NXの性能をご紹介したいと思う。

パッケージにはACアダプターも同梱

 Jetson Xavier NX開発者キットの外箱はちょっと大きめだ(図1)。中にはJetson Xavier NX本体の他、Jetson Nanoとは違ってちゃんとACアダプターも同梱されている(図2、3)。

図1 図1 パッケージの寸法は245×160×65mm(実測値)(クリックで拡大)
図2図3 (左)図2 ただしACアダプターは3ピンケーブルタイプなのでちょっと注意。(右)図3 ACアダプター出力は16V/3.42Aで65W出力。なぜかLITE ON製(クリックで拡大)

 さて、本体であるが今度はちゃんと床置きしても問題ない台に搭載される形で提供される(図4、5)。Jetson Nanoのときは、付属のスタンドが強度的にはかなり不安だったため、段ボールを適当に切ってスタンドを作った。

図4図5 (左)図4 画面出力にはDisplayPortが追加された。4つのUSBインタフェースは全てUSB 3.1対応。イーサネットはGbE。そのさらに左に、Device Mode OnlyのMicroUSBポートも見える。(右)図5 40ピンの拡張コネクターそのものは従来の「Jetson Nano」などと同じ配置。冷却ファン用のコネクターがちゃんと装備されている(クリックで拡大)

 さすがに消費電力が10/15Wになるためもあってか、標準でアクティブファン付きのヒートシンクが装着されているのが特徴的だ(図6)。

図6 図6 左に2つ並ぶのはカメラのインタフェース(クリックで拡大)

 本体のSOMモジュールを外すとイーサネットとボタンヘッダがあり(図7)、ストレージのM.2 SSDは裏面に接続可能となっている(図8)。SOMモジュールをひっくり返すとこんな感じだ(図9)。

図7図8 (左)図7 電源ボタンなどはSOMの下に配されたJ14ボタンヘッダに接続する。(右)図8 裏面にはWi-Fiモジュールと、2280タイプのM.2 SSDコネクターが。Wi-Fiモジュールのアンテナも台に組み込まれているのが分かる(クリックで拡大)
図9 図9 SOMモジュール寸法は、図面によれば65.6×38.8mmとなっている。コネクター部まで含んだ全体の寸法は70×44×23mm(実測値)だった(クリックで拡大)

 表面にはチップの他、裏面に載せきれなかったであろうメモリのLPDDR4Xチップが両側に1つずつ搭載されているのが分かる(図10、11)。ちなみに先ほどの図7にも出てきたボタンヘッダの配置はこんな具合だ(図12)。

図10図11 (左)図10と(右)図11 両側に電源レギュレーターと近接する格好でLPDDR4Xチップが搭載されているのが分かる(クリックで拡大)
図12 図12 シルク印刷がピンの陰になって読みにくいのが難点。どうせならピンの右に印刷してくれれば分かりやすかったのだが(クリックで拡大)

 下側が1番ピンで、以下のような配置になっている。

  • 1/2番ピン:電源/スリープ状態LED(2番が+)
  • 3/4番ピン:UARTの送受信
  • 5/6番ピン:これをショートするとAuto Power-onが無効化
  • 7/8番ピン:システムリセットスイッチ
  • 9/10番ピン:電源投入時にこれがショートされていると強制リカバリーモードに入る
  • 11/12番ピン:電源スイッチ

 そんなわけで、筆者はこんな感じで運用した(図13)。

図13 図13 上から電源スイッチ、リセットスイッチ、ショートピン、LED。PC用の配線を流用している(クリックで拡大)
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