さて、話の順序が逆になったが、以前レビューしたJetson Nanoと今回のJetson Xavier NXでは搭載されているチップが異なっている。
表1に簡単に違いをまとめてみたが、そもそも製造プロセスが異なっており、CPUのコア数も、GPUのシェーダ数も異なる。GPUに関してはPascal世代からVolta世代に進化しており、従来のCUDAコアだけでなく、AI処理を行うための「Tensorコア」を搭載しているため、Jetson Nanoとは比べものにならない処理性能が発揮できるとしている。
Jetson Nano | Jetson Xavier NX | |
---|---|---|
搭載チップ | TM660M(Tegra X1) | Xavier NX |
製造プロセス | TSMC 40nm | TSMC 12nm |
CPU | Cortex-A57×4 | Carmel×6 |
CPU動作速度 | 1.428GHz | 1.2G〜1.9GHz |
GPUアーキテクチャ | Maxell | Volta |
CUDA Core数 | 128 | 384 |
Tensor Core数 | なし | 48 |
GPU動作速度 | 921MHz | 800/1100MHz |
表1 Jetson NanoとJetson Xavier NXの仕様比較 |
実際にNVIDIAの資料では、これまでの組み込みAIボードの中核製品だった「Jetson TX2」と比較して10倍以上高速とされており、Jetson Nanoと比較するとさらに差が大きい(図14)。
ちなみに、Jetson Xavier NXの動作周波数に幅があるのは、消費電力で動作周波数が異なるためである。以下のように、10Wと15Wの2つのモードがあり、切り替えが可能だ。
切り替えは簡単で、Ubuntuをインストールすると、こんな具合(図15)にGUIでパワーモードを選択できるようになっている。また搭載されるCPUも、NVIDIA自社開発の「Carmel」コア(「Project Denver」の派生型、最大7ウェイのスーパースカラー)になっており、Jetson Nanoと比べるとこちらの性能も上がっているようだ。このあたりは後でちょっと性能比較をしてみたい。
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