NVIDIAが価格99ドルをうたって発表した組み込みAIボード「Jetson Nano」。本連載では、技術ライターの大原雄介氏が、Jetson Nanoの立ち上げから、一般的な組み込みAIとしての活用までを含めていろいろと試していく。第2回は、機械学習を試す前に“まとも”に使えるようにする。
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前回は、取りあえずOSがブートするところまでご紹介したが、これは本当に起動するまでで、しかもいろいろと間に合わせな部分もあった。次回からは機械学習(ML)関連を試してみるが、その前段階として“まとも”に使えるようにしてみたいと思う。
まずは電源。前回ちょっと書いたが、Jetson Nanoを利用するための給電方法は2つある。
前回は手持ちのMicroUSB経由で稼働させたが、Cortex-A57コアを利用する場合はともかく、CUDAコアをフルにブン回すと電力不足に陥る。ということで、まずはACアダプターの調達である。必要なスペックは以下の通り。
これに相当する製品は割と広く販売されており、筆者は秋月電子通商でAD-A50P400を900円(税込み)で入手した(図1、2)。
次が冷却ファンである。Jetson Nanoには結構巨大なヒートシンクが付いているが、10W(5V2A)駆動時はこれで持つにしても、20W(5V4A)だと明らかに不足する。実際、アクティブファン無しでCUDAコアをブン回したら熱暴走した、という先人の話を聞くにつけ、取りあえずファンは必要であろう、と判断した。
さて問題はファンをどう取り付けるかである。実はキャリアボード上にはちゃんと“Fan Header(J15)”が用意されており、4ピン式(DC/GND/PWM/Sense)のDCファンが接続可能である。「ならばPC用のファンを買ってきて取り付ければ……」と思うと大きな落とし穴が(図3)。
この4ピンコネクターは5Vが出る仕様であり、一方通常のPC用のファンは12V駆動である。このため、PC用のファンを接続しても動かないか、動いても極めて弱々しく回るだけだ。理由は簡単で、キャリアボードがそもそも5Vを供給されており、しかもキャリアボード上に5V→12Vの昇圧回路が無い(そりゃ冷却ファンの駆動のためだけにDC-DCコンバーターは普通載せない)からで、なので5VのDCファンを探す必要がある。
幸いACアダプターを買った際に、秋月電子通商の店頭でやはり5V駆動のDCファンを発見(図4)し、これを利用することにした。ただ写真でも分かる通り、これにはコネクターが付いていない。ということでパーツ箱の中からコネクターキットを引っ張り出して(図5)、はんだ付けをして(図6)取り付けた(図7)。
最後にジャンパピンの設定である。本体の右に8ピンのピンヘッダと、カメラコネクターを挟んで2ピンのピンヘッダが出ている(図8)。
まず左側のピンヘッダだが、右から以下のように並んでいる。
一方右の2ピンだが、これは電源ソースの選択で、開放状態だとUSBポートから、ジャンパピンを挿してショートするとACアダプターからの供給となる。ということでジャンパピンを挿しておく。
以上で完成……なのだが、試しにこの状態で組んでみた(図9)ところ、「電源がオフの状態でもACアダプターを挿すとファンが廻り続ける」という現象が発覚した。どうもファン電源オン/オフの制御も行っておらず、単にPWMの信号で回転数を0に落としているようだ。ちょっとこれをどうするか(5VでPWM端子までついて、かつそこそこの風量が取れるファンはめったに見かけない)は今後の課題としたい。一応ファンを除くと、電源ボタンを押すとマシンが立ち上がる、という構成にはなった。
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