東京大学は、独自開発の人工核酸を利用し、採集した血液から自動的に特定のメチル化DNAのみを回収する装置を開発した。サンプルや反応剤を装置に設置後、140分程度で自動的にサンプル中の特定のメチル化DNAを回収できる。
東京大学は2020年3月19日、独自開発の人工核酸を利用し、採集した血液から自動的に特定のメチル化DNAのみを回収する装置を開発したと発表した。同大学先端科学技術研究センター 教授の岡本晃充氏らと、日本大学、ジーンデザインとの共同研究による成果だ。
研究チームは、配列特異的メチル化検出用人工核酸「ICONプローブ」を固定したビーズを創出。このICONプローブは、オスミウム反応剤を混合することで、人工核酸と相補的な配列を持ち、かつ標的箇所がメチル化されているDNAのみと結合する。従来のメチル化DNA判別法と比べて、微量試料から回収できること、試料が反応剤によって分解されないなどの特徴を持つ。
自動化装置では、ICONプローブを粒径50μmのマグネチックビーズに固定して使用する。サンプルや反応剤を装置に設置後、140分程度で自動的にサンプル中から特定のメチル化DNAを回収できる。
DNAメチル化は、ウイルスなどの有害要素の遺伝子発現を抑制するが、一方でがん抑制遺伝子を働かなくさせる主要経路の1つでもある。研究チームは現在、開発した自動化装置を用いて、がんを標的にメチル化解析診断に有用な人工核酸配列を探索している。将来的には、その人工核酸を搭載した装置を使って、さまざまながん種の早期血液診断に活用したいとしている。
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